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(過去2)リーマスの物語5

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)


夏休みが終わって2年生になると、僕たちの結束はさらに強くなった。もともと授業も食事も寝る場所まで一緒だったわけだけど、さらなる刺激を求めて4人でホグワーツの探検に繰り出した。ホグワーツ城内は生徒たちの立ち入りが禁止された秘密の場所がたくさんあるし、城伝説みたいな謎めいた逸話もあって、冒険には事欠かない。

禁じられた森も、絶好の遊び場になった。城内ではジェームスたちに着いていくことが多いけど、禁じられた森なら僕の天下だ。1人の時は忌まわしいとさえ思っていた狼的な特徴、鋭敏な嗅覚や聴覚が、森の探検となれば称賛の的になった。それに森の生き物たちは僕の中の狼を感知するらしく、あえて僕らを襲うこともない。まあ、どんな危険が潜むかわからない奥地まで行くわけじゃないんだけど。

そして冒険好きな少年のグループに欠かせないものといえば、秘密の基地だ。僕たちは暴れ柳の下から続く叫びの屋敷を4人だけの基地として、友情と勇気を誓いあった。そんな体験の一つ一つがさらに友情を深め、絆となっていく。禁止を破ることも多いから、先生たちに見つかると怒られたけど、僕たちはこんな毎日が楽しくてしょうがなかった。僕にとっては夢みたいで、この仲間たちが僕のすべてだと思えた。

ずっとこんなふうに過ごせたら、僕はスネイプのことなんか忘れてしまったかもしれない。そしてたぶんそのほうが、スネイプにとっても幸せだったのだろうけど。そうならなかったのは、ジェームスとシリウスが、しつこくスネイプを狙ったからだ。

1年生の頃から、彼らがスネイプを目の敵にしていることは知っていた。でもそれは食事時に悪口を言うのをきいたり、たまに廊下でわざとぶつかったり、授業でのちょっとした失敗をことさらに騒ぎ立てるのを見かけるくらいだった。それはむしろ僕の気持ちをスネイプに向かせることになったわけで。

でも親しくなっていつも彼らと行動を共にするようになると、僕が気づいていた以上に、攻撃は激しかった。夏休みの間に仕入れた魔法や、ジェームスが父親からもらったという透明マントで、2年生になってパワーアップした面もあるかもしれない。

ある日秘密基地で集っていると、ジェームスとシリウスが得意げに、新しいいたずら魔法を見せてくれた。シリウスがビー玉みたいな小さな玉を取り出して、見てろ、と掛け声とともに壁に投げつけると、それは壁にあたってどろりと溶けてみるみる広がり粘りついていく。今度は僕だとジェームスが杖を上げて呪文を唱えると、杖先の向こうに泡が現れて、それはぶくぶくと膨らんで増えていった。

その様がおかしくて、僕とピーターは手を叩いて笑い転げたんだけど。続いたジェームスとシリウスのやりとりに、まるで水を浴びせられたように、心が冷えていった。

「この間は笑えたよな。スネイプのヤツ、粘着玉食らってべそかいて。見事、命中っと。」

「今度は僕が、シャボン泡の術でひと泡ふかせてやる。」

「べたべた髪が洗えて、みんなのためにもなるってもんさ。」

笑えるいたずらが、スネイプ相手になると陰険な嫌がらせにかわる。なぜスネイプにそこまでするんだと心の中で叫んだけど、顔はうすら笑いを浮かべてたと思う。明るいジェームスたちに潜む悪意と、彼らにへつらう僕を自覚した瞬間だ。誇らしく輝く友情の光の中に、黒いしみが生まれた。そしてそれからずっと、その黒いしみは、シャボン泡のようにぶくぶくと増幅したり小さくなったりしながら、粘着玉のように僕に粘りつくことになった。

最初の時こそうすら笑いを浮かべるしかなかったけれど、何度目かのスネイプの悪口の時に、意を決して言ったこともある。なぜそんなにスネイプをつけ狙うの?スネイプが君たちに、何かしたの?

「スネイプは闇の魔術に傾倒した邪悪なヤツなんだ。存在自体が許せない。」

あの時、人狼と知ってなお、僕を友達だと抱きしめてくれたジェームスが、同じ真剣な眼差しで言うことが信じられない。

リーマスは優しすぎるんだ。スネイプなんかに同情することないんだ。俺たちにやっつけられて、一人で泣きべそかいてりゃいいのさ。」

シリウスが話にならないといった感じで言う。でも、たとえ僕には理解できない理由があるんだとしても、それでも2人で1人を攻撃するのは卑怯じゃないか?

「でもスネイプは一人なのに、、」

「そうさ、あいつはいつも一人さ。一人ぼっちのスニベルス!嫌われ者だから友達なんかできない、俺たちと違ってな。な、リーマス、あんなヤツのことなんか気にするなよ。」

シリウスに肩を組まれて言われては、、。僕はそれ以上何も言えず、そればかりか、「ははは」とか笑い返してた。空しい。すごく空しい笑いだ。真の友達に、僕は自分の心を偽った。なんて卑屈で、意気地なしなんだ。

「次はリーマスも一緒にやろうぜ。ピーターもな。あいつの泣きっ面、おもしろいぞ。」

僕の上辺笑いに気を良くしたシリウスが、止めの一言を放った。

次なんか永久に来なければいいと願ったけど、それはすぐにやってきた。うきうきと計画をたてたジェームスとシリウスから、僕とピーターは、授業の後、彼らが隠れているとこにスネイプが近付いたら合図するように命じられた。もちろん、命じられたというのは僕の感覚であって、ピーターは勇敢な仲間2人のいたずら計画に入れてもらえたと喜んでいる。

魔法薬学の合同授業が終わると、ジェームスとシリウスはすばやく教室を出て上の廊下に潜んだ。ピーターと僕は、何やら先生に質問してノートにメモしているスネイプの様子をうかがい、スネイプが教室を出て曲がり角に近づくと、急いでジェームスたちに知らせた。

何も知らずに歩いていくスネイプ。そこに突然、汚いバケツの水が降ってきた。何事かと見上げた顔に魔法のシャボン水が飛んできて、ぶくぶくと泡を立てる。泡はスネイプの顔を覆い、頭を包むように広がっていく。

「たまには頭を洗えよ、スニベルス!」

「鼻水も一緒にな、さっぱりするぞ~、スニペリー!」

ジェームスとシリウスが叫び、何事かと驚いていた周りの生徒たちも、明るくはしゃいでみせるジェームスたちと、泡にまみれてもがくスネイプを見て笑いだした。

「ポッター!ブラック!何をするの!」

エバンスが叫びながら走ってきた。それに続いて、騒ぎに気付いたマクゴナガル先生も。

「ミスター・ポッター、ミスター・ブラック、すぐに研究室に来るのです!ついてきなさい!」

マクゴナガル先生の一喝に周囲の生徒は鎮まり、ジェームスとシリウスはしおらしい顔をして従いながら、こっそり僕たちにウィンクを飛ばした。エバンスがスネイプに駆け寄って、泡を拭っている。

暗い気分で、でも初めてのいたずらに興奮しているピーターの話にうなづきながら寮の談話室にいると、ほどなくジェームスたちが帰ってきた。

「スリザリンの泣き虫をやっつけたぞ!」

「先生には怒られちゃったけど~」

2人がガッツポーズをとり、おどけた調子で言いながら談話室に入ってくると、グリフィンドール生たちから、よくやったとか声援が飛んでいる。

「怒られちゃったの?」

少し心配そうにピーターが尋ねると。

「平気さ。ちょっと悪戯が過ぎてるって言われたけど。洗うのが好きなら、1週間男子トイレの掃除をしろってさ。マクゴナガル先生だって絶対噴き出すの我慢してたと思うよ。」

「もちろん、僕も掃除やるよ。僕たち一緒にスネイプをやっつけたんだものね?」

ピーターが言うのに調子をあわせて、僕も一緒に4人でトイレ掃除の罰を受けることにした。ジェームスたちなんて、術を磨くとシャボン泡出している有様で、あとは僕とピーターが水で流すだけだから、反省しているはずもない。

なんとか調子をあわせてたけど、夜ベッドで一人になると、僕は暗い思いに沈んだ。グリフィンドール生はスリザリンをやっつけたと称え、先生は過ぎた悪戯だと眉をひそめ、ジェームスたちも表向きそんな顔をしているけれど、実際には2人で、いや僕たちも含めた4人がかりでやった、スネイプへの嫌がらせだ。

あんなふうに皆の前で寄ってたかっていじめられて、スネイプはどんな気持ちでいたのだろう?

考えるまでもなく、僕にはわかる。顔を打つ汚水、増えてゆく泡の一つ一つ、嘲る罵倒、物見気分な周囲の笑い声すらも、受ける身には憎悪と排斥の意思を持つナイフのように突き刺さる。僕はその痛みを充分に知りながら、スネイプにナイフを投げつけた。5歳の僕に、突然に投げつけられた石の痛み。今日僕は、石を投げつける側に立った。そうしなければ自分が石を投げつけられるのだと怯え、スネイプも僕自身の心も裏切ってしまった。

1年の時の魔法薬学の授業の後で、思いがけず間近に見たスネイプの可愛い笑顔を思い出す。2人だけの禁じられた森で、初めて見る魔法生物に驚いた無邪気な表情も。闇と秘密を抱えた孤独な者どおし、心を通い合わせられることを夢見た日は遠ざかるばかりだ。

スネイプの中には、たしかに小さな明りが灯っていたと思う。すべてに恵まれた者が華やかな光を放つより、暗闇に小さな灯りを保つことのほうが難しいかもしれない。僕にはどんなにあがいても、自ら明りを灯すことなんてできなかった。思いがけずまばゆい光に包まれて、忘れかけていた小さな灯。その灯りは眩い光に目がくらんで見えなかっただけで、ずっと僕の心にあったのに。スネイプが懸命に守る小さな灯り。

僕もその灯りを守りたいと思った。守らなければいけないと思う。だけど、ジェームスたちの友情は僕のすべてで、失うなんて耐えられない。人狼の秘密を知る彼らに、立ち向かい諭す勇気を持つこともできなかった。僕にできることといえば・・・。

僕は考えて、できるだけスネイプを嫌がらせの被害から逃れさせようとした。仲のよいジェームスたちを偽る罪悪感は苦いものだったけど、まさか何年も続くことになるとは思いもよらず。

まず、スネイプを見つけるとジェームスたちが気づかないよう他に気をそらさせた。それから、ジェームスたちがつくった落とし穴の底に踏み台を入れて脱け出しやすくしてみたり、林の木に術で縛りつけられたのをこっそり解いてみたり、階段の段を魔法で消して転げ落ちさせる計画を聞いた時は下に見えないクッションを置いてみたりした。

自分で助けに行けない時は、森番のハグリッドに何か声が聞こえますと言って見に行ってもらったり、後にハグリッドがジェームスたちを可愛がるようになると、こわかったけど用務員のフィルチにそれとなく伝えた。

スネイプが僕のしていることに気がついていたかどうかよくわからないけど、何度か不思議そうな目を向けたから訝しく思うこともあったのかもしれない。その黒い瞳は、なぜ自分を助けるのかと問うようにも、なぜ理不尽な嫌がらせに手を貸すのかと僕を責めているようにも思えた。

ジェームスたちはしつこかったけど、スネイプも果敢だった。2対1、時には見張りの僕たちも含む4対1の不利な攻撃に、何度も酷い目に会いながら、スネイプは逃げ出すことなく杖を構えた。回数としては少ないけど、見事帰り撃ちにしたこともある。その強さを羨ましく思うとともに、スネイプの中に僕への敵意も増すのだろうと辛かった。僕の行いがそれに値することはわかっていたけれど。

同時に、ジェームスたちに対しても、複雑な思いを抱えざるを得なかった。そんなことがあっても、彼らは人狼の僕を受け入れてくれたかけがえのない友達であり、彼らの友情がなければ、僕は何者でもない。そして実際、彼らといるのは楽しく、誇らしかった。スネイプのことさえ除けば、彼らは明るくて勇敢で、友情に厚い皆の人気者なのだ。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ジェームス スネイプ リーマス

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