スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(過去2)リーマスの物語7

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)


スネイプへの思いが恋なんだと自覚した時こそ動転したものの、わりとすぐに落ち着いた。僕の場合、どうしようもない体の変化とか本能的な衝動を受け入れることに慣れていたし、それに、それで何がどうなるってわけでもないから。相手が誰であろうと、僕の恋に進展があるわけじゃない。

そう思うのは残念だけど、ため息をついてあきらめることも僕には身に着いた習慣みたいなものだから、あきらめてしまえばいっそ気楽だ。それでも恋心というのは不思議なもので、ちょっとした思い出を胸の中で温めてみたり、姿を見かけると得した気分になったりと、ささやかな片恋を密かに楽しむこともあった。

だけど、ことスネイプが関わる限り、のんきに楽しんでばかりいられるわけがない。4年生になってスリザリンの上級生たちがいなくなると、またジェームスたちのスネイプへの嫌がらせは多くなった。そのうえどちらの側も学年とともに魔術の腕も上がり、闘いは激しさを増した。僕も見張りにつきあわされて、恋心があるだけに、前以上に葛藤に悩むことになった。

もちろん、スネイプのためにジェームスたちに立ち向かい、嫌がらせをやめさせる、できないまでもやってみるという選択肢があることはわかっている。できればそうしたいし、そうすべきだと思ったけど、僕にはできなかった。

それは僕が、ジェームスたちの友情を、失いたくなかったからだ。それは僕の支えであり、僕の笑いもささやかな勇気も、すべては彼らに負うものだ。彼らが僕といてくれなければ、僕はただ周囲の目に怯えて穴に閉じこもる、臆病な獣のように生きるしかないと思う。もう人狼の秘密を抱える一人ぼっちのリーマスに戻りたくない。

スネイプへの行いがどんなに目に余るものであっても、僕はどうしても、この大切な友達に嫌われたくなかった。

僕はこんなふうにもんもんと悩むしかできなかったけど、スネイプのために立ち向かう人もいる。

「ポッター、ブラック、またセブに嫌がらせしたのね!」

4人で座って話している所にリリー・エバンスがやって来て、いきなり詰め寄った。エバンスは豊かな赤毛と涼やかな緑の瞳を持つ美少女なんだけど、怒ると迫力がある。

「エバンス、君みたいな子があんなヤツにかまうなんて。ほっとけばいいんだ。」

「あなたたちこそ、セブにかまわないで。彼が何をしたというの?」

ジェームスは一瞬たじろいだように見えたけど、すぐいつもの、みんなに好かれる自信に満ちた明るい笑顔をエバンスに向けた。

「あんなヤツ、かばってやる価値はないよ。スネイプは闇の魔術に傾倒した汚らわしいヤツだ。いるだけでみんなの迷惑だから、僕たちが懲らしめている。」

エバンスは肩をそびやかし、目を細めてジェームスを冷やかに睨みつけた。

「懲らしめるですって?えらそうに、なんて横柄な言い草なの?みんなで追い詰めて、いじめているだけじゃないの。」

「弱くて負けて、君に泣きついたわけか。まったく卑怯なヤツだな。」

「1人のところを狙って陰で攻撃することこそ、卑怯で恥ずべきことだわ。みんなにちやほやされていい気になっているんでしょうけど、あなたたちのしてることは最低よ!」

エバンスに言いたてられ、ジェームスはわざとらしく困ったような顔をしてシリウスを見た。

「臆病者は鼻水たらして泣いてりゃいいんだ。スニベルスの鼻水なんて、拭いてやることないぞ。」

「ブラック!まあ、なんてことを!セブのこと何も知らないくせに。乱暴なのと勇敢なことの区別もつかないのね!あなたこそ1人では何もできない臆病者よ!」

「エバンス、そうむきになるなって。ちょっとしたいたずらに目くじら立てて、美人が台無しだぞ。ひょっとして、アレの日か?」

シリウスの言葉にカンカンになって、エバンスはくるりと背を向け去っていった。

「なんだよ、あれ。だから女なんか、めんどくさいっつーんだよ。」

シリウスは大げさにぼやいてみせ、僕は内心、エバンスに拍手喝采の心地だったんだけど。

「スネイプのヤツ、、、エバンスに言いつけるなんて、許さないぞ。」

ジェームスが顔を歪めて呟くように言い、僕はすごく嫌な予感に襲われた。


それから間もなく、ジェームスとシリウスから、スネイプへの嫌がらせの計画を聞かされた。それは、禁じられた森の入口近くに、抜け出られないほどの深い落とし穴を作り、底にはネバつきシャンプーを敷き詰めておくというものだった。ネバつきシャンプーっていうのは、粘着玉と魔法の泡を合体させたみたいな、ネバネバとまとわりつく魔法の液体で、最近のジェームスたちの得意技だ。

具体的にはあらかじめ落とし穴を作って隠しておき、スネイプが1人で林に出かけるのを見つけたら、先回りしてジェームスとシリウスがネバつきシャンプーの仕掛けをつくる。そして用事を終えたスネイプを待ち伏せしてペトリフィカス・トタルス(石になれ)の術で身動きを封じ、衣類と杖を奪って穴に落とす。僕とピーターは、他の人が来ないように林の小路の途中で見張りをする。

「裸でべたべたになって泣きべそかいたなんて、恥ずかしくてエバンスに言いつけることもできないさ。禁じられた森に近づけば怒られるから、先生にも言えないはずだ。」

「スニベルスは、痛い目にあっても誰にも言えずに一人で泣きべそかくってわけだ。ジェームス、頭いいな。」

ひどく悪質な計画で、聞いただけで気分が悪くなった。体や異性への羞恥心が高まる年頃には、耐えがたい辱めだ。楽しそうに話すジェームスとシリウスが信じられない。スネイプがエバンスに恋心を持っているのか知らないけど、ジェームスがこの間のエバンスの抗議を根に持っていることは確かだった。

その計画に従って、4人で落とし穴を作りながら、僕はどうやったらスネイプを助けられるかと必死で考えていた。こんな目にあったら、怒りと屈辱のあまり、スネイプの中にあると僕が信じている孤独に負けない芯の強さや純な心まで損なわれてしまうんじゃないか。僕が持てない、闇に灯る小さな明りを守らなければ。

数日もしないうちに、いよいよ決行だと告げられた。ジェームスが、こんなことに使うなら卑怯すぎるアイテムだと思う透明マントでスネイプとエバンスの会話を盗み聞きをして、放課後にスネイプが林に行くことを知ったのだ。

晩秋の寒い午後、空には重く雲が広がっていた。スネイプはいつも着たきりの体には小さすぎるローブ姿で、片手に薬草用のカゴを携えて林に入っていった。少し時間を置いて、ジェームスとシリウスが透明マントを手に、林の小路を走る。ピーターと僕は、林の小路の途中で彼らと別れ、じゃまが入らないように見張りに立った。

「寒いね、リーマス。うまくいくかな?」

2人になるとピーターが、コートの襟を立てながら言った。

「ピーター、僕、なんだか具合が悪い。熱が出てきそうだ。悪いけど、ここは頼んでいいかな?」

「大丈夫、リーマス?僕一人で大丈夫だから、休んでおいでよ。どうせ誰もきやしないよ、こんな寒い日に。」

ピーターにお礼を言って背を向け、少し小路を戻ってからわきにそれて走り出した。見つからないように先回りして、スネイプを止めなければならない。僕は林の木々の間を抜けながら、耳をすまし、風の臭いを嗅ぐ。鼻と耳でジェームスたちの居場所を確かめ、スネイプを探しながら、森に向かい夢中で走る。

ようやくスネイプの姿を見つけた。小路から少し林に分け入った小川の縁で、スネイプは薬草を摘み終えたらしく、立ち上がって手をはらうと、両手をあわせて息を吹きかけていた。

僕が素早くスネイプに駆け寄ると、スネイプは瞬間的に杖を握って僕に狙いを定めた。

「スネイプ、お願いだから静かにして。僕の話を聞いて。」

僕の鋭いきゅう覚と聴覚は、少し離れた小路に、ジェームスとシリウスの気配をとらえている。彼らに聞こえないように小声で言うと、スネイプは訝しげに僕を睨みながらも、杖を下ろしていった。

ルーピン?」

「小路でジェームスたちが君を待ち伏せしてるんだ。僕に着いてきて。こっちだよ。」

スネイプの片手をつかんで木立の中に向かうと、抵抗していたスネイプも、結局一緒に走り出した。小路から少し離れた岩陰のくぼみに入り、息を整える。1年生の頃、一人で林を散歩するうちに見つけた秘密の場所だ。その後仲間と遊ぶようになったから、来ることもなかったんだけど。

ルーピン、何のつもりだ?」

スネイプが息をはずませながら、それでも小声で尋ねてきた。僕も声をひそめて、嫌がらせの計画を説明した。エバンスがジェームスたちに詰め寄ったところだけ、スネイプの口元がわずかに緩んだけど、話が進むにつれて険しい表情になっていった。

「しつこくてイヤなヤツらだ。」

スネイプの言葉に、僕もうなづいた。僕としては、この計画が悪いのであって、ジェームスやシリウスがまるごとイヤな人間だと思ってるわけじゃないんだけど。

「でも僕は、こんなふうに逃げ隠れするつもりはない。」

スネイプが杖を握って歩き出そうとするから、僕はあわてて止めた。

「やめろよ、スネイプ。向こうは2人なんだよ。君はそれでよく酷い目にあってるじゃないか。」

「時には4人のようだが。」

スネイプは嫌味を言いながら、片眉を吊り上げて僕をじろりと見た。

「いつも僕が1人の時を狙って嫌がらせする。酷い目にあうとしても、そんな卑怯者に負けるものか!」

動き出すスネイプを止めようと抱きついた時、風にのってジェームスたちの声がわずかに聞こえてきた。

「スニベルスのヤツ、どこにいるんだ?」

「こわくて隠れてんじゃないか、臆病者のスニベリー、こそこそしないで出て来いよ!」

いきり立って僕の腕を脱け出そうともがくスネイプの体をぎゅっと抱きしめながら、耳元でささやくほどに声をひそめて。

「頼むよ、スネイプ、行かないで。僕が嫌なんだ。君が酷い目にあうのが、僕は嫌でたまらない。お願いだから、少しだけ我慢してここにいて。」

スネイプの体から少しずつ力がぬけてゆき、訝しげに僕を見る。間近に見えるスネイプの顔から、眉間のしわがやわらいでいった。僕は少しホッとして、腕を回したスネイプの背中が冷え切っているのに気がついた。古着のコートをはおってる僕でさえ寒いんだから。

「あっ。」

小さな声をあげて空を見上げたスネイプのまつ毛に雪が舞い降り、驚いたように瞬きする表情が、1年生の頃に見た無邪気な子供のように見えた。僕はコートを脱いでスネイプの肩にかけ、コートの上から包むように腕を回した。少しでも、スネイプの冷えた体が温まるように。僕たちはしばらく黙って雪の中に佇み、ジェームスたちの気配が消えるのを待って歩き出した。小路にはうっすらと、雪が積もり始めている。

ルーピン、なぜ僕を助けた?」

「それは、、、。君が怪我をしたり凍えたりしないように。」

「・・・。今日はこうしたけど、僕はポッターたちから逃げ隠れするつもりはない。」

「なぜ君たちは、君とジェームスたちは、そんなにいがみ合ってばかりいるの?」

「おまえもポッターたちといれば知っているだろう?ヤツらがしつこくつけ回すのだ。卑怯にも僕が一人の時を狙って。」

僕はうなだれて聞いているしかない。

「僕だって怪我をするのはいやだけど、卑怯な嫌がらせに屈して逃げるわけにはいかない。」

「スネイプ、でも卑怯な嫌がらせで怪我をするなんてばかばかしいじゃないか、、、」

僕がくどくどと言うと、スネイプは呆れたように、聞こえよがしのおおきなため息をついて立ち止まった。

ルーピン、彼らを卑怯だと思うなら、おまえがやるべきことは、今日みたいに僕を連れて隠れることではないだろ?」

わかってる。

「ポッターたちは僕の天敵だ。両方に味方することはできないぞ、ルーピン。」

僕たちは校庭で別れて、それぞれの寮に向かった。寮に戻ると、みな大ホールの夕食に行っていて誰もいない。スネイプを助けられたことにホッとして、それからスネイプが最後に言ったことを思い返して胸が苦しくなり、思わず頭を抱えると額が熱い。どうやらほんとに熱が出たようだった。

 にほんブログ村 小説ブログへ
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター スネイプ ルーピン

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。