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(過去2)リーマスの物語14

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)

林でスネイプと話してから、僕の気分は格段に軽くなったけど、グリフィンドールの仲間たちとスネイプに関わる事態は何も変わらなかった。いや、むしろ悪化したといえる。

暴れ柳事件の顛末が、シリウスは事実上お咎めなし、ジェームスは周りから称賛されるという結果に終わったことで、2人はますます調子づいてしまった。僕が元気を取り戻したせいもあるんだろうけど、アレはうまくいったよな、スニベリーのビビった顔は見物だった、というような会話を、僕がいようとかまわずするようになった。

僕は林でスネイプがしてくれたことで少しは勇気が出て、もう十分やったんだからこれ以上スネイプにかまうことないとか、君たち調子に乗り過ぎだとか、僕としてはかなり踏み出した気持ちで諌めたりしたけど、調子づいた2人は聞く耳を持たない。

結局彼らには、虐げられる者の痛みなど、自分のものとして感じることはできないんだと思う。自分がそんな立場に陥ることなど想像したこともないだろうから無理もないけど。人狼の僕に手を差し伸べてくれた善意と友情への感謝が消えたわけじゃないけど、いい気になり過ぎな彼らには辟易とし、そして少し怖くもあった。今のジェームスとシリウスは、僕がはっきりとスネイプを擁護すれば、スネイプと一緒に僕のことだって切り捨てかねないと思えるほどに、強者の傲慢さを漂わせている。

僕が人狼であることに引け目を感じる臆病者だからこんなふうに思うのかもしれない。でも、彼らが、うっかりであれ、意図的にであれ、ひとこと僕が人狼だと漏らせば、僕は皆の非難を浴びてホグワーツを去るしかない。その深刻さを、スネイプはわかってくれるだろうけど、彼らにはけっしてわからないのだと考えると、身がすくむ思いがする。

スネイプはといえば、たまにこちらに向ける目の険しさは増したけど、同時に用心深く1人になることを避け、いっそうスリザリン生たちと行動をともにしていた。それは将来デスイーターになると噂されているグループだから、よいことだとは思えないけど、1人でいればジェームスたちに酷い嫌がらせを受けるのは目に見えているのだから、まっとうな自己防衛ともいえる。

僕がまがりなりにもジェームスたちを諌める態度を示したせいか、同じ監督生のリリー・エバンスは少し打ち解けてきた。エバンスは監督生のくせにジェームスたちの行為を見逃す僕に対して腹立たしく思っていて、わりとそっけなかったんだけど。ジェームスたちがまた度の過ぎたいたずらをして、寮監のマクゴガナル先生に監督生として呼び出された帰り道、彼女のほうから話しかけてきた。

「ポッターたちは相変わらずね。リーマス、あなたはポッターたちと親しいんでしょうけど、なぜあんな規則違反や横柄な態度を見過ごしていられるの?監督生として、はっきりと正すべきよ。」

ジェームスたちは他のいたずらも活発にやってるけど、僕としては一番の気がかりはスネイプへの嫌がらせだ。その点はエバンスも同じだと思い、スネイプの話を出してみた。スネイプのことを悪口でなく話せる相手なんてエバンスしかいない。

「たしかに彼らは最近調子に乗り過ぎている感があるけど、、まあ、最近はスネイプが用心して友達といるから、、、」

「友達?セブもセブだわ。あんな、デスイーターになるようなグループの仲間に入るなんて。マルシベールなんてメリー・マクドナルドにひどいことをしたのに、そのことを言ったら、ポッターたちを引き合いに出してまじめに取り合わなかったのよ。」

エバンスは怒ったみたいに話し始めたけど、言ってるうちに悲しそうになった。

「ジェームスたちのほうが酷いことしてるって?」

「そうよ。あなたたちが姿を消して怪しいとかなんとか言ってね。ポッターたちは鼻もちならないけど、でもセブも恩知らずよね、ポッターに助けてもらったって話なのに。」

スネイプとエバンスはそんな話をしたのかと少し驚く。様子を見る限り、僕の正体のことは彼女にも黙っていてくれたようだ。ポッターに助けてもらったなどとエバンスに言われて、スネイプはさぞ悔しかっただろうに。僕が何とも言いようがなくて黙ってしまったから、エバンスは話し続けた。考えてみればエバンスだって、スネイプについてあれこれ考えるところはあっても、話せる相手がいないんだろう。

「とにかく、よりによってあんな人たちと仲良くなるなんて間違ってる。セブは頭はいいけど、世間知らずなのよ。デスイーターたちがどんなに酷いことをしてるのかわかってないんだから。」

エバンスは憤懣やるかたないように勢い込んで言ったけど、ふと誰に話しているのか気づいたように口をつぐみ、疑わしそうな目を向けた。僕だってジェームスたちと一緒に、スネイプへの嫌がらせに加わる仲間と思われている。

「リリー、スネイプは、デスイーターたちが外の世界で誰に何をしているかってことより、自分の身を守ることに必死なんだと思う。いつか闇陣営が世を支配したとしたらどうなるかなんて、現実味をもって考えられないんだと思うよ。今ある自分の現実がすべてで、それも苦しいことのほうが多いんだろうし。でもスネイプは根は優しいし律儀なところもある、、、そんなこと君は知ってるだろうけど。」

エバンスは思いがけないスネイプの擁護に驚いたように瞬いた。

「そうね、、その通りね。セブは苦労してるから。だけど、、、セブだってもう小さな子供じゃない。自分で考えて道を選ぶべきよ。とてもだいじなことだもの。このままでは周りに影響されて、ほんとにデスイーターになってしまうかもしれない、、、それにリーマス、セブのことわかっていながら、なぜポッターたちをのさばらせておくの?」

エバンスのもっともな詰問に僕は答えようがない。スネイプの弁解はできるけど、自分の事情を話せないのが僕の限界だ。僕の沈黙を答えと受け止めたのか、エバンスは聞こえよがしなため息をついて離れていった。

やがて5年の学年末が近付いて、皆あわてて勉強を始めた。5年の終わりにはOWL試験がある。試験の成績しだいで6年でとれる科目が決まるし、ひいてはそれが卒業後の将来にもかかわるとあっては気にしないではいられない。成績優秀なジェームスや、そんなの気にするのは人間が小さいとかいうシリウスは余裕を見せてたけど、僕は暴れ柳事件後の遅れもあってまじめに勉強した。時々見かけるスネイプも、いつもノートに顔をくっつけんばかりに頑張っているようだった。

そして、やっとOWL試験が終わったとホッとした時、ひどい事件が起こった。試験が終わり、生徒たちがみなゾロゾロと教室を出て歩く中、ジェームスとシリウスが、1人歩くスネイプの姿を見つけたのだ。退屈しのぎにやっつけてやるかという不穏な会話を耳にしてスネイプを見ると、終えたばかりの試験の解答を調べようとしたのか、1人で木の下に座りこんで教科書を覗き込んだ。スネイプも油断していたのだと思う。

あっと思った瞬間に、スネイプの杖が飛び、スネイプの体は逆さに宙に吊り上げられていた。

レビコーバスだ。吊りあげられる姿のこっけいさがうけて、一部でけっこう流行っている。仲のいい友達同士の冗談で終わることもある術だけど、この場合はそんなのんきなことですむはずがない。それにスネイプ、なんでローブの下がそのままパンツなんだ?

逆さに宙づりになって、だらりと垂れ落ちた黒いローブの上に、露わになった古びたパンツから細い脚がにょきっと空に向かって伸びている。その様は悲しいほどにこっけいで、そのへんにいた生徒たちも面白がって集まってきた。ジェームスとシリウスは勝ち誇って嘲りの言葉を吐き、ピーターもいつの間にか加わっている。周りはみな笑ってはやし立て、、、スネイプの身になれば、いたたまれないものがある。

僕はもちろん止めるべきだと思った。ジェームスたちを諌め、スネイプを助けたい。だけど体が動かなかった。集まった多くの生徒たちの前に立ちはだかる勇気が、どうしても出ない。皆の視線を集める場に立つ自分を描くと、人狼と糾弾されるように思えて身がすくむ。だってほんの一言漏らされたら?ジェームスだってシリウスだってピーターだってスネイプだって、そんなことするはずない。だけどそう思っても、体は動かなかった。僕はただ臆病に目をそらし・・・。その時。

「彼にかまわないで!」

リリー・エバンスが駆けつけ、ジェームスたちに立ち向かってスネイプをかばった。リリーとジェームスたちの言い争いの末に、ようやくスネイプの体が落ちた。胸をなで下ろす思いと、何もできない自分への苦さをかみしめる間もなく。

「『穢れた血』の助けなんか、必要ない!」

ヒステリックなスネイプの叫び声が響きわたった。僕は唖然とした。スネイプがリリーのことを貶める言葉を吐くなんて。そんなはずないのに。

リリーもショックだったらしく、スネイプに怒りの言葉を投げつけ、さらにジェームスにも何か叫んで、走り去っていった。その後はまた、スネイプをジェームスたちがいたぶって、、、。痛々しくて目を向けることもできないような時間が過ぎて、ようやくスネイプは解放された。散ってゆく生徒たちに紛れ、地面に落ちたスネイプを2、3人のスリザリン生が助け起こすのが見えた。

スネイプはきっと屈辱と怒りのあまり、一瞬我を忘れてあんなことを口走ってしまったんだと思う。だぶん誰よりスネイプ自身が傷ついてるんじゃないか。僕はスネイプの表情を見たわけではないのに、思い描いた悄然とした様やうつろな目が焼き付いて離れない。

僕が助ければよかった。スネイプはリリーにあんな姿を見られたのが恥ずかしくて、リリーに助けられたとからかわれたことも恥ずかしくてパニックに陥ったのだ。僕が助けていればリリーが出る必要もなく、スネイプだってあんなにも錯乱することはなかっただろうに。僕が何もできなかったばかりに、、自分が歯がゆくて仕方がない。

その夜、スネイプはグリフィンドール寮に来てリリーに謝ったけれど、リリーは厳しく突っぱねたらしい。グリフィンドールの女の子たちの話を小耳にはさんだシリウスがおもしろそうに話しだした。

「スニベルスのやつ、ついにエバンスにも見放されたみたいだぞ。ジェームス、念願かなったな。」

さぞかしご機嫌だろうと思ったジェームスは、意外にもふさぎこんだ表情で、スネイプの術にやられた頬の傷を撫でていた。

「どうしたんだ、ジェームス?あ、そうか。エバンスはおまえとデートするくらいなら、巨大イカのほうがましだって言ってたな。巨大イカとのデートって、何すんだ?」

シリウスがからかって一人で笑い出すと、ジェームスはしばらく悔しそうに唇を噛んでいたけど、何か考えついたらしく、ようやく少し笑みを浮かべた。

「とにかく、これでエバンスにもスネイプの本性がわかったんだろ?もうスネイプはエバンスにつきまとえない。僕に言わせりゃ、スネイプよりは巨大イカのほうがましってこと。」

「そりゃ言えてんな。」

翌日には学期が終わり、皆ホグワーツ特急に乗って自宅へと向かう。僕はリリーと一緒に監督生として見回りをしながら、一昨日のOWL試験後の出来事やスネイプのことを話せないかと思っていたけど、彼女は難しい顔をしていて、話しかけるきっかけをつかめなかった。

早々に見回りを終えて仲間たちのコンパートメントをのぞくと、シリウスが険悪さが極まった家族のもとには戻らず、ジェームスの家の庭にキャンプさせてもらうことにするという話をしていた。僕も満月が近づいたらまた来ればいいと誘われて、あれこれ思うことのある仲間であるにせよ、ありがたく受け入れずにはいられない。不安げな顔をしたピーターにも、ジェームスがもちろん君も来いよと言って、いつも通り、仲間4人の和やかな雰囲気になった。

夏休みの計画を話す仲間たちの会話に加わりながら、僕はスネイプのことを考えていた。あんなふうに皆の前で辱められ、たぶん誰よりもたいせつなリリーに暴言を吐いてしまったこと、そして謝罪が受け入れられなかったこと。1人思い悩んでいるだろうと胸が痛む。さっきのリリーの様子を思い出し、彼女もまた許せないほどに深く傷ついたのだと、2人のために悲しくなった。

スネイプが言った『穢れた血』という言葉。マグルやマグル出身の魔法使いを貶める言葉。そんなことを言う純血主義のやつらがバカなんだと言いつつも、言われればマグル出身の生徒たちは皆傷つく。誰だって、自分にはどうしようもないことを、汚らわしいと侮蔑されたら、悲しいにきまってる。それが言い返すにも値しない相手ならともかく、強い絆で結ばれた長年の友達に言われたら。それも、同じ寮の仲間たちから非難されてもかばい続けた大切な友達から、みんなの前で言われたら。スネイプだから、リリーはかんたんに許せないほどに傷ついてしまったんだ。

2人は仲直りできるんだろうか?もしスネイプがリリーを失ったらと思うと、僕は不安でたまらなくなった。

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tag : ハリーポッター スネイプ リリー・エバンス

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