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(過去2)リーマスの物語15

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)

6年生は、5年時に比べると、ずっと穏やかに過ぎていった。僕にとってはということだけど。

振り返って思うと、5年生は、浮かれたり落ち込んだりと感情の起伏が激しくて、疲れる年だった。暴れ柳事件では、人狼である自分の本質や、埋められない仲間たちとの距離を思い知り、心には大きな傷が残ったけれど、思いがけないスネイプの癒しのおかげもあって、なんとなく受け入れられるようになってきた気もする。

満月のときには自分の意思ではどうしようもない凶暴な獣になってしまうし、それ以外の時は引け目を感じて卑屈になったり臆病になったりしてしまうけど、そんな自分となんとか折り合いをつけて、少しでもましな人間になれるように努めていくしかない。穏やかな気持ちの裏にはあきらめがあるわけだけど、それでもいいと思う。こんな僕でも、受け入れてくれる人がいるんだから。

僕は何度か、人狼の僕を受け入れてくれた人たちを数え上げてみた。周囲から排斥されながら、見捨てることなく僕を育ててくれた両親、ホグワーツに招いてくれたダンブルドア先生、ずっと世話をしてくれるマダム・ポンフリー、1年生の終わりに僕の正体に気づき友情を育んでくれたグリフィンドールの仲間たち。あれこれあって、完璧とは言えないけどやっぱりありがたい友達だ。そしてスネイプ。親しいわけでもないのに、偏見を交えず人狼をあるがままのものとして理解し、痛みをわかってくれた。これだけの人たちが人狼の僕を受け入れてくれるのだから、僕も勇気をもって自分の運命を受け入れ、辛くても惨めでも、なんとか前向きに生きていこうと思えるようになった。

グリフィンドールの仲間たちとの関係は、夏休みにジェームスの家に集まったりしているうちに、曖昧さは残しつつも、元通りの和やかなものになった。新学期が始まってホグワーツに戻ると、あいかわらずジェームスとシリウスは調子づいたままだったけど、自分が穏やかな気持ちになってみれば、さほど気になることもない。欠点を含めた自分を受け入れられれば、同様に他人の欠点も受け入れられるということかもしれない。

そんなふうに思えるのは、暴れ柳事件やOWL試験後のスネイプへのいたぶりのような、耐えがたいほどの事件が起こらなかったせいもあると思う。

ジェームスは、OWL試験後の事件の時に、エバンスから「巨大イカとデートする方がまし」と聴衆の面前で言い放たれたのがこたえたらしく、人前でスネイプをいじめるのは控えることにしたようだった。もちろん、せっかくあの事件でスネイプが墓穴を掘ってエバンスと仲たがいしたのだから、彼女を刺激するようなことはやめようという、ジェームスらしい計算もあるみたいだけど。

シリウスも、夏休みをジェームスの家で過ごしたことで、純血主義をめぐる家族との諍いのストレスが和らいだらしく、いつでも爆発寸前の勢いでスネイプに憎しみをぶつけるというほどでもなくなった。僕はある意味開き直って、スネイプへの嫌がらせには加わらないと宣言したし、気がつくとピーターもそれほど勢い込んではやし立てることをしなくなっていた。

それでも、顔をあわせればジェームス、シリウスとスネイプは即座に杖を向けあっていて、居合わせてしまえば僕は見て見ぬふりをする自分を内心罵っている。けれど、2人とスネイプの争いは、以前のような一方的に手の込んだ企みというよりは、多少ルールにはずれた決闘の様相を呈してきて、それもレベルの高い闘いだから、僕なんかが下手に庇えば、無駄に怪我人が増えるだけじゃないかと思えてくる。一対一でないのはフェアじゃないと思うけど。

実際、鬼気迫る感の増したスネイプは強くなった。たまに一対一でやり合ったらしいジェームスやシリウスが、怪我をしてスネイプを罵っていることもある。

僕は彼らの闘いの行方より、スネイプの思い詰めた表情が気がかりだった。OWL試験後の事件以来、スネイプとエバンスの仲はどうなっているんだろうと思う。あんな暴言は吐いたけど、スネイプにとって彼女は大きな支えだったはずだ。

6年生になってからスネイプとエバンスが一緒にいるのを見かけることはなく、そうは言っても、学年が進むにつれてもともと人目につくところで2人が話すのを見かけることはめったになくなっていたから、事件後に2人の仲がどうなっているのかわからない。スネイプの険しい表情や、前にも増してデスイーターになると噂されるグループと一緒にいるのを見かけることから、たぶん仲直りできてないんじゃないかと推測するくらいで。

スネイプと話したくて林をうろついたりしてみたけど2人で話すチャンスなんて訪れないし、OWL試験の結果、僕は当然ながら魔法薬学の授業を受けられないから、たまたまスネイプと組んで実習するような幸運も望めなかった。

やきもきしているうちに、寮の談話室にエバンスが1人でいるのを見つけた。運よく僕も1人だ。この機会を逃す手はないと話しかけた。

「やあ、リリー、今ちょっと話せる?」

「リーマス、何かしら?」

「スネイプのことだけど、君たちって最近、、、」

僕がスネイプの名を出すと、エバンスはさっと身構えた。

「スネイプとは話してないから私は何も知らないわ。ポッターたちに何を言われてきたのか知らないけど。」

エバンスの目がきつくなって、怒られてる気分になる。正直、僕はこの美人で優秀で正義感が強くて勇敢な魔女が、ちょっとだけ苦手だ。自分の勇気のなさを思い知らされる経験を積み重ねた結果、そうなってしまったわけだけど。美人なだけに怒ると凄味があって、なんといってもあのジェームスを言い負かす気の強さがあるんだから僕なんてかなうわけないし。そのまますごすごと引っ込みそうになったけど、いや、別に今は怒られるようなことしてるわけじゃないと、なんとか踏み止まった。

「ジェームスたちは関係ないよ。僕はただ、5年の終わりの出来事が気になって。君とスネイプ喧嘩したってきいたから。でも君だってわかってるよね、スネイプは動転してただけで、本気であんなこと言ったわけじゃないって。」

エバンスは訝しげな眼で僕を見た。なんだか値踏みされてるような居心地の悪さに耐えていると、しばらくして彼女は大きなため息をついて話し出した。

「それはわかってるわ。セブが私のことをあんなふうに思ってないことはね。でも、私と同じマグル出身の子たちのことは、、、穢れた血って、、、平気で言ってるのよ。だから咄嗟にあの言葉が出たの。そんな仲間とばかり付き合ってるから。」

「じゃあ、君は今でもスネイプのこと怒ってるの?君がつき放したら、スネイプにはそんな仲間しかいなくなるってことなのに。」

「リーマス、あの時のことだけじゃないの。私何度もセブに言ってきたのよ。闇の魔術に傾倒するのも、純血主義を仰ぐのも、間違ってるって。平和な時ならただの趣味ですんでも、闇陣営が台頭している今の世の中では、とても危険なことなんだって。デスイーターは邪悪だし、デスイーターになると言われてるセブの仲間たちだって、私の友達にひどいことをしてる。何度も言ったのにセブは真面目に取り合わないの。すごく軽く考えてるのよ。っていうか、考えてない。だから、私が本気で怒ってる態度を示せば、セブだって頭を冷やして考えてくれると思うの。」

「・・・」

「それにね、私がセブを庇うほど、ポッターたちの嫌がらせも激しくなるでしょう?実際、今年になってから、酷いことは起こってないわ。ポッターたちの嫌がらせなんかに気を取られないで、セブには冷静になって、自分のしてることを考えてほしいのよ。そうすればセブにだってわかるはず。きっと反省して彼らとの付き合いはやめてくれると思う。」

「そうすれば仲直りするんだね?」

「もちろんよ。だってセブと私は、、」

ちょうどその時、がやがやと寮生たちが入って来た。クィディッチの練習が終わり、選手や見ていた生徒たちが帰ってきたようだ。

「お、リーマス、エバンスと何話してんだ?俺たちも仲間に入れてくれよ。」

ジェームスとシリウスと、ピーターもやって来て僕を囲んだ。

「ああ、ちょっとね、、宿題のこと、きいてたんだよ。」

僕が取り繕っている間に、エバンスはつんと横を向いて立ち去っていた。



年が明けて3月に、僕は誕生日を迎えて17歳になった。いよいよ成人だ。もう大人だと思うと感慨深く、しっかりしなくちゃと気持ちが引き締まる感じがする。少し遅れて同じ3月にジェームスも成人すると、なんだか急に大人びた雰囲気になった。それまでが悪ふざけして騒ぎまくったり、ちやほやされてかっこつけたりしていただけに、僕は驚いたしシリウスは冷やかしたけど、ジェームスは動じない。何事か考えているようだった。

そして学年末が近づいた頃にはジェームスの傲慢さはなりを潜め、すっかり落ち着いた感じになって。

「リーマス、僕、ここ1、2年、嫌な奴だったと思う?」

「そんなことないけど。まあ、ちょっと調子に乗り過ぎた感はあったかな。」

「だろ?あれだよ、第二次性徴期ってやつ。僕ってほら、何やってもうまく行くから、思春期のホルモンに後押しされてもっと行ける行けるって感じでさ。今から思うと調子に乗ってかっこつけて、照れくさいよ。リーマスはいつも落ち着いてるから呆れてたんじゃないかって、今さら思ってね。」

「おー、ジェームス、大人だな。」

「おまえはまだホルモン全開か、シリウス?」

「俺はもともとワイルドな男っぷりが売りってことで。」

そういうシリウスも、以前に比べれば少しは落ち着いてきたと言える。シリウスは去年のうちに17歳の誕生日を迎え、その際、やはり純血主義のブラック家に反発して家系図から抹消されている叔父さんが経済的な援助を申し出てくれたそうだ。実家とは縁を切って我が道を行くことを決め、苛立ちがおさまったらしい。もっとも、ブラック家のほうではマグルびいきのシリウスなど純血の由緒正しきブラックの家系図から消したそうだけど、シリウスはせいせいしたと豪快に笑っていた。叔父さんに買ってもらったマグルのバイクをぶっ飛ばすのが今から楽しみだとはしゃぐ様子を見ると、落ち着いたっていうのは言い過ぎかもしれないけど。

ピーターは卒業後の就職のことを考え始めたそうだ。生活の心配がいらないから就職の必要がないジェームスとシリウス、就職のことなど考えてもどうにもならない僕が例外なのであって、ピーターや他の生徒たちは最終学年を目前に、卒業後の進路について思案を始める時期だった。

仲間たちとそんな話をして、わりと穏やかな日々を過ごしながらも、あいかわらずスネイプとエバンスのことは気になっていた。遠目で見てるだけだからよくわからないけど、スネイプは年が明けた頃からまた一段と思い詰めた表情でいることがあって、それは半ば呆然自失な風に見えることさえあった。エバンスが嫌がっている、将来デスイーターになると噂されているスリザリン生と一緒にいることも多いんだけど、そんな時もなんとなく心ここにあらずな虚ろさが漂っている。

ある日ふとエバンスが眉をしかめているのを見かけ、彼女の視線を追うと、その先に噂のグループと一緒にいるスネイプの姿があった。僕がスネイプに感じる虚ろさを、エバンスも感じているんだろうか?それとも彼女には、ただスネイプが楽しそうに仲間といるように見えてるんだろうか?

気配を感rじたのか、スネイプが急に辺りを見回し、エバンスを見つけたようだ。その瞬間、スネイプの黒い瞳に光が宿ったように見えたけど、エバンスはすでに背を向けていた。しばらく見ていたスネイプの肩がわずかに落ちて、スネイプのため息が聞こえるような気がした。

2人の間には、見えそうで見えない曇りガラスがあるように思える。僕には一目瞭然なスネイプのエバンスへの思慕、スネイプの改心を待つエバンスの思い。どちらも曇りガラスに隔てられ、おぼろな影しか映らない。赤毛と黒髪をくっつけて笑っていた幼い2人が、どうしてこんなふうに隔てられてしまったんだろうと思い、胸が締め付けられるような切なさを感じた。

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tag : ハリーポッター リリー スネイプ

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