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(過去2)リーマスの物語17

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)

7年生の終わりが近づいてくれば、気になるのは卒業後の進路やホグワーツの外の社会情勢だ。大人として社会の一員となり、どんな社会でどう生きていくか、何をしたくて、何ができるのか、考えるのが当然だろう。仲間たちとの話もそんな話題が多くなった。

残念ながら、僕たちが歩みだす今の魔法界は、闇の影に覆われている。ヴォルデモート卿と名乗る強力な闇の魔法使いが、デスイーターを率いて、禁じられた呪文を含む闇の魔術を駆使し、手段を選ばず権力を掌握しようとしている。魔法界内部では純血魔法族による支配をすすめ、さらには長年マグルから隠れた存在であった魔法族の存在を知らしめて、マグル世界をも支配するという、壮大というか、荒唐無稽で排他的な方針の勢力らしい。

彼らは、マグル界はともかく、魔法界内部ではかなりの力を得ていて、魔法省内で手をまわして純血主義的な政策を進めたり、マグル出自の魔法使いや反抗者を誘拐したり傷めつけたり殺したりしているという。老獪なのは、その実態を表さないやり方だ。禁じられた呪文である服従の術や脅迫により、誰がいつどこで彼らに操られ、協力しているかわからない。身近な者さえ信じきれない不安の中で、人々は身をすくめて怯えるしかない状況らしい。

根っから闇の魔術を嫌うジェームスや、純血主義の家族との諍いを続けてきたシリウスは、こういう事情に詳しくて、この話になると憤りを隠さない。

「卒業すれば、僕らはそんな社会に直面することになる。今まではホグワーツの中にいて、社会に蔓延する危険から守られていた。校長先生は、マグルや他の魔法生物との平和的な共生を目指すべきだという意見で、闇勢力に真っ向から反対しているからね。でも社会に出たら、僕たち自身が闇勢力と闘い、社会を守っていかなければいけないと思う。」

「純血主義なんて、まじバカげてる。狭量で排他的で高慢ちきなヤツらだ。そもそも純血家系なんてもうほとんど存在しない。マグルと結婚した者や、俺みたいなマグル好きを家系からはずして、純血だって言ってるだけさ。ブラック家に生まれた俺が言うんだから間違いないぜ。まあ、純血主義といってもみんながみんな闇勢力に賛同してるってわけじゃないけどな。純血主義には賛成でも、闇勢力の非道なやり方は感心しないってやつもいる。だけど反対の声をあげて酷い目にあうくらいなら、当たり障りなくやりすごすってのが大半だが。けどそれは間違いだ。今は純血も混血もマグルも、出自に関係なく勇気を持って立ち向かわなければ、ヤツらをのさばらせるばかりだ。」

力強く語るジェームスは頼もしいし、シリウスもこの話になると真顔になる。ホグワーツ創設後に、マグルを締め出そうと主張したサラザール・スリザリンを放逐したゴドリック・グリフィンドールの意を受け継ぐ僕たちグリフィンドール寮生は、率先して純血主義の闇勢力にいどむべきだというのが2人の考えだ。2人とも卒業後は旅をしたりして見分を深めながら、闇勢力を抑えよりよい社会を築くのに貢献するつもりだという。

この話の流れで、たまにはスネイプを含むスリザリン生の一部への非難が続くこともあるけれど、もうそれがスネイプ個人への嫌がらせの計画なんかに進むことはなく、2人の視線は闇勢力という社会の敵に向いていた。だから僕はもう仲間とスネイプの板挟みみたいな状態に悩むことはなくなった。

それに加えてスネイプも学年初以来明るさを漂わせて幸せそうにしているのだから、もうどちらも相手のことはかまわなくていいじゃないかと思うんだけど、そういうわけにはいかないものらしく、互いに顔を合わせれば杖を向け合っているらしい。それでもジェームスたちは、以前のように闇の魔術や純血主義への嫌悪を、スネイプという気に食わない個人に集結させる幼稚な思考からは卒業したようだ。

彼らの言い分によれば、スネイプこそ2人に、特に自分が苦手な箒の天才で、クイディッチヒーローの人気者で、さらにはリリーと親しくなったジェームスに嫉妬しているんだそうだ。まあ、それはあるだろうと僕も思う。だけど、スネイプにしてみたら無理ないとも思う。運動神経に恵まれて、さらに裕福な生まれのおかげで幼い頃から箒の才能を伸ばす機会に恵まれたジェームスはみんなに称賛され、一方スネイプは運動は苦手で、箒だってたぶんホグワーツに来て初めて手にし、自分が得意な闇の魔術は禁じられ悪し様に言われる。その上おそらくただ一つの宝物だったであろうリリーまで、最後は自分が墓穴を掘ったにしろ、ジェームスに奪われてしまったんだから。恵まれた者に自分の幸運に感謝する謙虚さがあれば、不運な者を敵に押しやることもないんじゃないかと思うけど、本人たちは気づかないものなのかもしれない。彼らだって生まれ育ちを選んだわけではないんだし。

それでも、少なくとも、ジェームスの彼女としてリリーが仲間たちの集まりに加わることがあるようになって、ジェームスとシリウスが声高にスネイプへの悪口を言い募ることはなくなった。そしてスネイプのことさえ絡まなければ、ジェームスもシリウスも、明るくて勇敢で優秀で、友情に厚い最高の仲間だった。

ピーターは魔法省に就職するつもりだそうだ。何事にも恵まれて理想主義に傾きがちなジェームスや、長年純血主義をめぐり家族に反発してきたためか感情に流れがちなシリウスと比べ、ピーターは堅実だと思う。ジェームスやシリウスと一緒にいても、彼らが特別に恵まれた存在であって、自分はそうじゃないんだと、いつの間にか気づいたのか。現実を見据え、地に足のついた選択をし、その歩みを進めていた。

僕はそんな、力強く自分のゆくべき道を語る仲間3人を、少し眩しい思いで眺めていた。僕には未来を、、、といってももう間近に迫った卒業のすぐ先のことなんだけど、、、思い描くことができなかったから。僕にだって何かできないかと考えはした。たとえば、人狼としては特別にきちんとした教育を受けられたのだから、見捨てられたままの人狼たちの待遇を改善するようなことができないかとか。あるいはジェームスやシリウスの話をきいて、僕も彼らと共にダンブルドア先生が目指す共生社会への道に貢献できないかとか。

でも具体的に何ができるかと考えると、貧しい人狼の身で、できることは思いつけなかった。その前にまず、どうやって生活していけばいいんだろうと途方に暮れてしまう。家に戻って、せっかく幸せに暮らしている両親や妹を、また僕の人生に巻き込むことはできないし、そうなるとホグワーツを出た先の居場所さえ思いあたらない。

卒業後のことを考えると、むしろ今の、僕がともかくも一人の学生として受け入れられ、学び、仲間と語り合える、残りわずかな日々が、この上なく貴重なものに思えた。温かくて、心強くて、離れる前からすでに懐かしい気持ちさえする。

もう1人、先を考えあぐねている人がいた。意外なことだけど、リリー・エバンスだ。最近時々彼女も、仲間として一緒に話に加わっている。きいてみれば、彼女の悩みももっともだった。まず家族のいるマグル界に戻るか、魔法界に留まるかという迷いがある。これはまあジェームスが躍起になって引きとめているし、彼女自身、すぐれた魔女としての誇りを持ち、マグル界で魔力を隠して生きていくのは納得がいかないらしい。

では魔法界に残るとなれば、家族から離れ自分の生活を確立しなければならない。魔法界で暮らすとなれば、今の社会情勢によりマグル出身者が被る危険や、悪化する制度的な不利を、リリーは覚悟しなければならないのだった。だから実は、理念的に闇勢力を嫌悪するジェームスたち以上に、実際に不利益を被る立場として、リリーは闇の勢力に激しい怒りを感じている。主観的にはともかく、客観的に選択の余地があるジェームスたちと違い、マグル出自のリリーは否応なく闇勢力の被害をこうむる立場なのだから。このことを、スネイプがなぜ理解できないのかと思うんだけど。

こんなふうに日が過ぎてゆくうち、ある日僕はマクゴナガル先生に言われて、ダンブルドア先生と面談することになった。立派な校長室に入るのは初めてだ。そして、せっかくダンブルドア先生が特別な配慮で与えてくれた学びの機会を得ながら、先のあてもなく卒業を迎える身が、ふがいなく思えてならない。

「リーマス、そこに掛けなさい。もうすぐ卒業じゃが、どうじゃ、ホグワーツは楽しかったかの?」

「はい。先生のおかげで、多くを学び、思いがけず友達もできました。ありがとうございます。」

先生の顔を見ると、、、僕も多少開心術が使えるから感じるのかもしれないけど、、、僕の先のあてがない不安や忸怩たる思いなどは、すべてお見通しのようだ。もっとも、別に開心術なんか使わなくても、僕のような者のこの時期の状況など、誰にでも想像がつくのかもしれないけど。

「人狼に対する理解は一向に深まらぬし、むしろ事態は悪化しておるからの。卒業後の進路が定まらんのは君のせいではない。君はよく頑張り、よい成績をおさめたものじゃ。特に闇の魔術に対する防衛術なんかはの。」

「はい。全部の科目というわけにはいきませんが、できるだけ頑張りました。ただそれをどう活かしていくか、先生のご恩にどう報いたらいいのかと思うと、、、。」

先生は半月型の眼鏡の奥の目を細め、少し僕を見ていた。僕の全てを見通すように。そしてその目がふっと優しくなり、それから少し身を乗り出した。

「リーマス、君はわしの期待通り、立派な若者に育ったようじゃ。これからわしが言うことは、強制ではない。よく考えて、君自身が選ぶことじゃ。じゃが、君がどんな選択をするにせよ、今日の話の内容は決して口外してはならん。よいかの?」

「はい。誰にも言いません。」

「世の中の動き、ヴォルデモート卿が純血魔法族至上主義を掲げて勢力を伸ばしておることは知っておるの?これは憂うべきことじゃ。魔法族もマグルも魔法生物も、みなが平和的に共生できる世こそ、みなが幸せに生きられる社会なのじゃ。じゃが現実には闇勢力が隆盛し、抑えるべき魔法省の中にすら彼らの手が伸び、スパイがはびこっておる。しかもその実像が明らかに見えんようにじゃ。」

「そのようにきいています。魔法省から先生に協力を求めたという話もきいたことがあります。」

「その通りじゃ。じゃが今の魔法省は信用できる状況にない。魔法省の動きは闇勢力に筒抜けと思わねばならんし、この期に及んで権力闘争にうつつを抜かす輩までおるのじゃ。」

いったん言葉を切って、ダンブルドア先生は眉を寄せ、首を振った。

「そこでわしは、魔法省とは別の立場で、闇の勢力に対抗する組織を立ち上げようと思っておる。いわば秘密結社じゃ。魔法省と協力して闇勢力と闘うこともあるじゃろうが、主な活動は、闇勢力の情報を探り、勢力の拡大を食い止めることになる。加えて、被害者を助けたり、ともに立ち向かう仲間を集めてゆくことも重要じゃ。」

「・・・」

「どうじゃ、リーマス、この組織に加わるつもりはないかの?むろん、命の危険すら伴うことじゃから、無理にとは言わぬ。じゃが、勇気ある者が力を結集して立ち向かわねば、闇勢力が権力を掌握する日も遠くない。そうなれば多くの者の幸せが踏みにじられるのじゃ。リーマス、わしに協力できるか、じっくりと考えてみてくれんかの?」

「先生、考えるまでもありません。先生のお考えに従いたいです。でも僕なんかにできるでしょうか?」

「君が自信を持てんのは、人狼であるゆえの引け目からじゃろう。じゃがこの勝ち目の薄い闘いでは、そのことさえも活かせるかもしれぬ。ヴォルデモート卿は純血主義を掲げるかげで、人狼をはじめとする魔法生物を味方に引き入れようとしている気配もあるのじゃ。つまり、君にしかできんこともある。君は優秀な魔法使いで、正しき心も勇気も持っておる。そう思うからこそ、声をかけたのじゃ。」

「僕に勇気があるのかどうか、、、勇敢でありたいと思ってはいます。先生、僕は将来を考えあぐねていたのですが、お話をきいてゆくべき道が見えた気がします。どうか僕をその結社に加えてください。」

闇勢力と戦い、ダンブルドア先生の恩に報いる、これ以上の機会があるだろうか?僕にも、魔法使いとして、社会に役立つ道が開けるんだと思うと、心がはやった。

「リーマス、よう言ってくれた。わしの期待どおりじゃ。君の選択を歓迎する。卒業式のあとに正式に結社を創設するつもりじゃ。不死鳥の騎士団と名付けての。」

「僕のほかにも加わる人は決まっているのですか?」

「今何人かに声をかけておる。皆一様に賛同してくれておるがの。すでに立ち上がっておる卒業生たちや、今年の卒業生ではジェームスとシリウスにもさっき話したところじゃ。2人ともやる気満々じゃの。」

「ではジェームスたちにはこの話をしてもいいですか?」

「それはよいが、他には知られぬように気をつけるのじゃぞ。話が漏れれば危険が増す。わかるの?」

「はい、わかりました、先生。」

僕はダンブルドア先生に認められたことも将来の道が見えたことも嬉しくて、やや浮足立ってジェームスとシリウスを探した。ちょうど2人で何か話していて、たぶんこのことじゃないかと思ってかけつけた。

「ジェームス、シリウス、今ダンブルドア先生から話をきいたんだ。不死鳥の騎士団のこと。」

周囲に人がいないか確認し、ちょっと声を潜めて話しかけると、2人もまったく同じことをして。

「ほらな、ジェームス、ダンブルドアだって考えは同じさ。リーマスも騎士団に相応しいってな。」

「そうなんだ、リーマス。今2人で話してたとこ。リーマスとピーターも一緒に加われないかなって。」

「ピーターは戦闘力としては俺たちほどじゃないが、頭はいいし努力家だ。あれこれと気がつくしな。」

「うん。僕もそう思う。ダンブルドア先生は、僕が人狼であることも活かせるって言ってた。たぶん人狼たちの情報を探れるってことだと思う。ピーターは、、」

「そうだ、魔法省!ピーターなら俺たちみたいに無駄に目立つことなく、魔法省で情報を探れるってもんだ。」

そうなれば、僕たちいたずら仕掛け人はそのまま騎士団4人組になって、闇勢力を打ちのめすんだと話が盛り上がり、ピーターからやってくるのを待てずに、ジェームスはダンブルドア先生に直訴に行った。こういう、相手が校長先生でも臆さず行動できるのがジェームスのすごいところだ。

数日後には校長先生と話したピーターが僕たちに加わって、不死鳥の騎士団、花の78年卒業組の団結を誓うことになった。

「でも僕、闇勢力が暗躍する魔法省で、1人で情報を探るなんてできるかな?スパイってことでしょ?」

ピーターがやや心細げに言うと、ジェームスは励まし、シリウスは豪快に笑い飛ばした。

「ワームテール、心配いらないよ。君ならなんだってできる。アニメガスだってやり遂げただろ?」

「魔法界のジェームス・ボンドってやつさ。かっこいいぞ、ワーミー。」

「なに、それ?」

「え、知らねーの?マグル界の人気映画。ジェームス・ボンドってスパイが美女を両手に悪者やっつけるスゲー話さ。名前はジェームスだけどな。」

ピーターはわかったのかわからないのか、首をかしげて笑っていた。

それからさらに数日後、僕たち4人が集まっている所に、リリーが走ってきた。ジェームスの肩をポンポンと叩き、久しぶりに晴れやかな顔で。

「私も君たちの仲間よ!」

それから周りを見回して声をひそめて。

「不死鳥の騎士団。私も加わりたいってダンブルドア先生にお願いしたの。先生も認めてくださったわ。」

これには4人ともびっくりして顔を見合わせた。ジェームスが珍しくあわてた様子で言い訳がましく言う。

「リリーに隠し事はしたくないから言っちゃったんだけど。」

そしてリリーに向きなおり。

「リリー、なんてことを。遊びじゃないんだぞ。命がけの危険な闘いなんだ。」

これをきいてリリーの目がみるみるつり上がっていった。

「ジェームス、あなたたちは危険な闘いに挑み、私のは遊びだというの?私には闘う力も勇気もないと言いたいのかしら?」

前からそうだったけど、リリーは怒るとこわい。言う内容がまた正しいことばかりだから、ジェームスはたじろぎ、僕はうなだれ、、、。こんなとき、空気を読まない発言ができるのはただ一人。

「でもさ、リリー、君だって一応女の子なんだから、、、」

ある意味勇敢と言えるけど、もちろんシリウスも撃破される。

「それならブラック、差しで勝負よ。私とあなた、どちらが闘いに相応しいか、杖で決着をつけましょう。」

ジェームスがあわてて、シリウスも自分も、リリーの身を心配しただけだとなだめ、シリウスもその通りなんだ、君が勇敢なのはよくわかってると頭をかいて謝った。もちろん僕に口出しする勇気はなかったけど、それでも僕も心配だった。リリーは僕と違って、他に選べる道がないわけじゃないんだから、あえて危険な道に進むことはないんじゃないか。

数日後、ジェームスたちがクィディッチの最後の試合に向けての練習に行っていた時、リリーと2人で話すことができた。

「リリー、ほんとうに不死鳥の騎士団で活動するつもりなの?もちろん、君が優秀な魔女で、僕なんかよりよっぽど勇敢だってわかってるよ。だけど、ただでさえ危険な活動なのに、魔女は目立つし、マグル出身とわかれば、よけいに狙われると思う。ジェームスもシリウスも、僕だって、心配なんだ。君は成績もいいから、他にいくらだってやりがいのあることを見つけられるんじゃないかと思うんだけど。」

「あなたたちが心配してくれているのはわかってるわ。でも私だって、ジェームスやあなたたちがするから私もなんて、安易な考えで決めたわけじゃないのよ。マグル出身だから狙われるなんて、そんな社会は間違ってる。狙われる当事者だからこそ、自ら立ち向かうべきよ、魔女であってもね。命がけの闘いになるとしても、狙われて怯えて、逃げ隠れするなんて、そんな臆病者にはなりたくない。よく考えて決めたことなの、リーマス。」

「君は勇敢な人だ。いつだって、たとえ一人でも、立ち向かう勇気がある。君がよく考えて決めたことなら、僕が口出しすることなんてないんだけど、ただ、、、君をたいせつに思う人がいることを忘れないでほしい。君に万一のことがあれば、ジェームスもスネイプもどんなに、、、」

リリーがはっとしたように顔を上げ、僕も自分が言ったことに気がついた。

「あ、ごめん、、、スネイプのことなんて言うつもりなかったんだ。気になってたからつい、、、。」

「いいのよ、リーマス。私も実を言うと、セブのことも考えてた。あなたはおかしいと思っていたのでしょう?セブとあんな経緯があったジェームスと、私が付きあい始めて。」

「いや、その、スネイプのことは気になってたけど、ジェームスは素晴らしいヤツだから、君が付き合っておかしいなんて思ってないよ。」

「いろんなことがあって、私もジェームスのこと、傲慢でイヤなヤツだと思ってたんだけど、でも彼は反省してあやまってくれた。人の言葉に耳を傾け、自分を見つめ直して過ちを正すのは、なかなかできないことよ。それを素直に伝えるのも、勇気のいることだと思うわ。だから、半ばジェームスを試すつもりでデートに応じたんだけど。彼、とても誠実だった。いつも自信満々の憎たらしいジェームスが、一生懸命なのを見てたら、なんか、かわいいなって思っちゃって。」

リリーが照れくさそうに笑い、その笑顔には、恋する女の子の輝きがあった。

「似合いのカップルだよ。ジェームスはほんとにいいヤツだし。」

「でもね、リーマス。ジェームスたちには内緒だけど、、、。セブはやっぱり特別なの。恋愛とかそんなんじゃないのよ。もしかしたら、そうなっていたかもしれないけど、そんな感情を自覚するほど大人になる前に道が分かれてしまった。」

リリーが遠くを見るような、寂しげな表情になる。

「私にはセブを見捨てることなんてできないわ。セブはマグルの町で初めて会った、たった一人の魔法使いの友達だったの。それまでわけもわからずに、なんか自分は人とは違うって、妹や友達から気持ち悪いおかしな子って言われながら、こんな素晴らしいことがなぜいけないのってずっと思ってた。そうしたらある日セブが現れて、魔法の世界を開いてくれたの。それは素晴らしいことなんだって言ってくれた。2人で話すすべてのことが、夢みたいに思えたわ。」

話をききながら、黒髪と赤毛をくっつけて笑う、幼い2人の姿が浮かぶ。

「ホグワーツに来る年になって、楽しみではあったけど、慣れ親しんだマグルの町や家族のもとを離れるのは寂しいし心細くもあった。セブは家のことでつらい思いをしてたから、マグルの町なんかさっさと離れたいって大人ぶって言ってたけどね。心細くて手をつないだらギュッと握ってきたから、セブだって不安はあったと思う。そうやって、手に手をとって、まだ知らない自分たちの世界に勇気を持って踏み出したの。セブがいなければ、私、来なかったと思う。1人では進めない道を、セブがいたから踏み出せた。その手を放す日が来るなんて、、、思ってもみなかったわ。」

「君にとってもスネイプはたいせつな友達だったんだね。」

「うん。友達以上。魔法使いの家族みたいに思ってる。だから、あきらめられない。セブはマグル界でつらい思いをしてたから魔法族の血を尊ぶし、寂しい子供時代を送ったから人づきあいが苦手で、いいか悪いか考えもしないまま闇の魔術にはまっちゃったりしてるけど、根は寂しがりやで、まじめで律義でやさしいのよ。バカげた純血至上主義の闇勢力の台頭なんてことがなければ、ただちょっと人あたりが悪い変わり者ですんだのよ。だからね、リーマス、私は決めたの。闇勢力なんて打ち負かして、セブを取り返す。セブが自分で戻れないなら、私が連れ戻す。」

「・・・。スネイプは幸せだな、君にそんなふうに思ってもらえて。君ならほんとにできそうに思えるよ。」

「そうでしょ、リーマス。でもほんとは、、、ちょっと怖い。やっぱり、命がけの活動だもの。でもやり遂げてみせる。マグル出自の意地とセブのためにね、そしてよりよい社会のために。ジェームスやあなたたちとも一緒なんだもの、勇気を持って闘うわ。そして成し遂げた暁には、、、セブにはしっかり反省してもらうわよ。手がかかるんだから。ジェームスだって心を入れ替えたんだから、お互いにあやまって、過去を水に流さなかったら、私が許さないわ。それにリーマス、あなたもよ。その時は今度こそ、あなたも私と一緒に2人を説得してちょうだい。」

わ、僕にも来た。あわてて力いっぱいうなづいて。

「もちろんだ。僕もそうすべきだよ。うん、今度こそ、僕も勇気を持って言うべきことを言うべきだ。」

何言ってんだかわかんないけど。それにしても。

「リリー、君はほんとに、、素晴らしい魔女だね。ジェームスにもスネイプにも、慕われるのがよくわかったよ。聡明でやさしくて、そして誰より勇敢だ。君と一緒に騎士団で闘えるのが誇らしく思える。だけど、、、ほんとに気をつけてね。君はたいせつな人なんだから。」

リリーは嬉しそうに笑ってうなづいた。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター,リーマス,ジェームス,リリー

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