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(過去3)1981ハロウィーン/序章1

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の妄想です)

「ところで、『予言の子』の身元が確定した。」

デスイーターの幹部会。ダークロードの言葉に、ちょっとしたざわめきが起こった。何の話だっけ?と隣にきいている者もいる。今まで議題に上ったことのない話だから。ダークロードはそんな気配に軽くうなづきかえして話を進める。

「知らぬ者もおるであろう。ダンブルドアに、余を打ち破る力を持つ赤子が7月の末に生まれるという予言が降りていたのだ。ダンブルドアを探っていたセブルスが手に入れた情報だ。そうだったな?」

軽く視線を投げかけられて、僕はうなづきかえした。もうずいぶん前のことだ。たしかドラコが生まれる少し前に、ダンブルドアの後をつけていて盗み聞きしたものだった。報告はしたけれどそれきり話に出ることもなく、ダークロードは予言など気にしないのかと思っていた。実際、そんな不穏な予言など気にする必要もないほど闇陣営の優勢は明らかなのだけど。むしろダークロードに名を上げられた僕を苛立たしげに見る視線のほうが気にかかる。ルシウスのおまけみたいな僕が幹部会に出るのを、快く思っていない人もいるのだ。そんな視線を跳ね返すように目線を上げた時。

「余は密かに調べていたのだ。該当する者が2人いて紛らわしかった。アリスとフランクのロングボトム夫妻に生まれた子ネビルか、リリーとジェームスのポッター夫妻に生まれたハリーという赤子か。」

不意をつかれて一瞬、耳を疑った。まさか!聞いたことが理解できず、理解することを拒み、、でも拒みきれない。ただ、ロングボトムのほうであってほしいと願うしかなく。

「わが君!そのような者はさっさと始末しましょう。」

「わが君、どうぞ私めにご命じください。赤子の首をひねってまいります!」

口々に声を上げるデスイーターを意に介さず、ダークロードはなかばひとり言のように話し続けた。僕はただ、リリーでないように、僕のせいでリリーが狙われるなんて、そんなことあるはずない。それだけは。息を飲み、言葉一つも聞きもらさぬよう全力を傾けた。

「余は慎重に考えたのだ。悪しき芽は育たぬうちに摘まねばならぬ。ネビルか、ハリーか、果たして余に抗う力を持つにふさわしき赤子はどちらかと。」

そしてダークロードはすっと首を上げ、宣言した。

「ハリーだ。ポッター夫妻の息子、ハリー・ポッターこそ予言の子。時宜を逃さず、余、自ら襲撃する。」

私もおともさせてください、私も、私もと叫ぶデスイーターたちを制し。

「襲撃に助けは要らぬ。余に抗うと言うのだから、余が始末をつけるまでのこと。皆はポッター一家の居所を見つけ出せ。近頃、不死鳥の騎士団の者は逃げ隠れがうまいようだが。どうだ、今この場でポッター一家の居場所を言える者はおらぬか?なによりの手柄となるぞ。」

リリーが、、、リリーが、、、僕のせいで。僕はなんということをしてしまったのか、、、。

「ポッターはここ1年ほど、めったに姿を見せません。わが君の威力を恐れて隠れているのでありましょう。」

「ポッターは襲撃に出ていた頃からすばしこいヤツでした。あとを追っても突然消えてしまうのです。」

「わが君、あやつを締め上げては、、、」

「もうよい。誰もわからぬということだな。だがそのように皆が熱心であれば、必ずや近いうちによい報告を聞けると信じておるぞ。」

衝撃と悔いに崩れ落ちそうになるのを留めるのが精いっぱいなのに、ポッター、ポッターと聞きたくもない名が連呼され、傷口が裂け血が噴き出すように憎しみが湧きあがる。なぜリリーはポッターの子など産んだのか、あんなやつの子など産むから、、、ああ、でも今はポッターなんかどうでもいい。すべては僕が予言を知らせたばかりに起きたことなのだ。まさか、リリーがその予言に関わるなんて、考えもしなかった。

うなだれる僕をかまわず時間は進んでゆく。ダークロードがもう一度、きっぱりと宣言して話を終えた。

「ポッター家の所在がわかりしだい、余が、自ら襲撃する。皆はやつらの隠れ家を見つけだせ。」

その後何か、打ち合わせか他の議題か、会議は進んでいたけれど、僕は一歩も進めなかった。ただ、リリーが襲撃されるのだと。僕のせいでリリーが襲撃される、、、その結果など恐ろしくて考えたくもない。リリーのこととわかっていれば、ダークロードに予言の話なんか伝えなかったのに。

ダークロードが腕を上げて解散の合図をし、皆その場を立ち去った。デスイーターたちは手柄を求め、競ってリリーの居場所を探すだろう。誰かを締め上げればいいと言う者もいた。心当たりのある者さえいるのなら、残された時間はわずかしかない。このまま事が進めばリリーは襲撃を受け、ダークロードの手にかかってしまう。それだけは食い止めなければならない。なんとしても。

僕は意を決してダークロードのもとに歩み寄った。足元の覚束なさは隠しようもなかったけれど、かまってはいられない。

「わが君」

「なんだ、セブルス?浮かぬ顔だな。」

僕は崩れるようにその足元にひざまずいた。

「わが君、どうかお願いでございます。リリーを、予言の子の母親の命をお助け下さい。」

「母親の命をとな。理由を申してみよ。」

「はい、申し上げます。リリーは私の幼馴なじみでございました。」

「母親はマグルときいておるぞ。」

「私は幼い頃、マグルの街に住んでいました。母は純血の魔法族ですが、父親がマグルなのです。リリーは、そこで初めて会った魔女でした。もう数年来親交はありませんが、幼い頃はただ一人の友達で、いっしょに魔法の鍛錬をして、、彼女の死は、彼女を見殺しにすることは、とても私にはできません。私自身、助けてもらったこともあり、いつもリリーはやさしくて、、、」

言葉が途切れれば突っぱねられるような気がして、ダークロードのローブの裾にすがらんばかりに必死に話し続けたけど、こみ上げる感情と焦りにしどろもどろになってゆく。いつだって大事なとき僕の口は思うように動かない、、。

「わが君、母親などどうでもかまわぬではありませんか。予言は赤ん坊だけなのでしょう?セブルスの願いをお聞き届けください。予言を知ることができたのもセブルスのはたらきによるもの。手柄の褒美ということにしてやっていただけませんか?」

気がつくとルシウスが僕の隣にいて、落ち着いた声で口添えをしてくれた。

「母親が純血の魔女で、父親がマグルか、、、。セブルス、顔を上げて余を見よ。」

見上げるとダークロードが僕の目を覗き込んできた。鋭い視線が頭の中を這いまわる感触は、開心術だとすぐわかった。逃れるすべはないのだから、ただ目を見開きすべてを曝した。僕の心には何が見えるのだろう。リリーと初めて会った公園か、林の中で語らう景色か、ポッターの嫌がらせに引き裂かれ、みじめに打ちひしがれる姿か、、、

息詰る時間が過ぎて、ダークロードの視線がふっと緩んだ。

「よかろう、セブルス。ルシウスの言うとおり、母親などどうでもよい。おまえの望み通り、女の命は助けてやろう。襲撃の後には、おまえの好きにするがよい。」

鷹揚な言葉に緊張がとけ、力が抜けた。ダークロードの足元ににじり寄り、感謝と服従の口づけをする。

「ありがとうございます。わが君、心よりお礼申し上げます。」

ダークロードが去っても、しばらくは身動きもできずうずくまっていると、ルシウスが肩を抱えて立ち上がらせてくれた。

「セヴィ、さあ、もう大丈夫だ。家に帰って休め。今日は私もこのまま屋敷に戻る。」

「ありがとう、ルシウス。助かった。あなたが口添えしてくれたから。」

「私はいつもお前の味方だ。それにしても、いったいどうしたというのだ?ダークロードの機嫌がよかったからよいようなものの、機嫌を損ねれば反逆と疑いをかけられかねぬことをして。おまえらしくもない。そんなに大事な女なのか?」

答えられるはずもなくうなだれていると。

「グリフィンドールの赤毛か?」

僕は小さくうなづいた。問い詰められるかと思ったけど、ルシウスは何も言わず、肩に回した腕で僕を促し、そのまま屋敷にアパレートした。

マルフォイ邸に着くと、予定より早い帰宅に驚くナルシッサと、その腕に抱えられてはしゃぐドラコを軽くいなし、僕が風邪をひいたのだと言ってルシウスは部屋まで付き添ってくれた。ルシウスが運ばせた温かいお茶と消化のよい食事をとり、ようやくショックが和らいだ。

「落ち着いたか、セヴィ?顔色がよくなった。」

「うん。」

ベッドに並んで腰かけて、ルシウスの肩に頭を預けていると、初めてルシウスに抱かれた頃のような、なんとも甘ったれた子供じみた気分になるのを抑えようがない。何を悩むこともなく、こうして身をゆだねていればいいのだと思いたくなる。そう思っていられたらいいのに。

「今日のおまえには驚いたが、、、まあ、よい。ダークロードが聞き分けよく言うことをきいてくれてよかったではないか。母親の命は助けると言ってくれたのだから、もう心配することはない。安心して休めるだろう?」

「うん、よかったよ。あなたのおかげだ。」

そう言ってルシウスの胸に顔をうずめた瞬間に、対峙するダークロードとリリーの姿が頭をよぎった。

・・・ダメだ。安心なんてできない。ダークロードが赤ん坊を襲おうとすれば、リリーは必ずその前に立ちふさがる。

ポッターたちにいたぶられる僕に気づくと、リリーは必ず駆けつけて僕をかばい、勇敢に彼らの前に立ちはだかった。同じ凛とした態度で、いや、それ以上に、捨て身の覚悟で赤ん坊をかばい、ダークロードに立ち向かうはずだ。たとえどんなに絶望的な状況であろうとも。そしてダークロードは、リリーが邪魔立てしてもなお、僕との約束を守るほどの忍耐を持ち合わせているとは思えなかった。そうなれば、、、

リリーは、、、。あの、迷いなき杖先が、まっすぐにリリーを狙い、、、。頭の中に、あの容赦ない呪文と赤いせん光が走り、息を飲んだ。ダメだ、それだけは。ルシウスに気づかれぬようにと身を固めたけれど、湧きあがる恐れと不安はとどめようがない。世界が揺らぎ、粉々に壊れてゆく。僕のせいでリリーが殺されるなんて。

「やはり疲れているのか?もう寝たほうがよい。」

ルシウスが気遣ってくれて、2人並んでベッドに横になった。いつも僕に安らぎを与えてくれた腕に抱かれても、心が鎮まることはない。

なぜあんなことをしてしまったのだろう。予言をきいて、得意げに報告し、、、。悔いがこみ上げ、打ちのめされた。ほかならぬこの僕が、リリーの窮地を招いたのだ。だけど、、、なんでリリーはポッターなんかの子を産んだのだ?あんな奴の子を生むからこんなことになって。ポッターを思い出すと憎しみが湧きあがり、、、だけど、僕があの予言を告げなければ。予言がリリーに関わると知っていたら、けっして報告なんかしなかった。そうだ、これは罰だ。僕が浮かれて、リリーのことを忘れてたから。いや、忘れてたわけじゃない。強くなって、立派なデスイーターになれば、いつかリリーも僕をみなおして、帰って来てくれると思っていたのだ。愚かにもそう信じ、、、そう思いたかっただけかもしれない。僕は間違っていたのか?この事態を思えば、答えはあきらかだ。僕のせいでリリーが殺される。僕なんか、いなければよかった、、、生まれてきたのが間違いだったんだ、、、僕なんかいなければ、きっとリリーはいつまでも笑って過ごせたのだ。リリーのいない世界なんて、何の価値もない、、、

留まることなく湧き出でる悲しみと憎しみと悔いの連鎖に疲れ果て。

そしてようやく、後悔などしている場合ではないと悟った。僕が嘆き、ぐずぐずと自分を責めている間にも、ダークロードの手がリリーにかかるかもしれない。手遅れになる前に、なんとかリリーを助けなければいけないのだ。僕の命に代えても、リリーを守らなければ。

リリーを襲うダークロードの前に、僕が立ちふさがることを考えてみた。リリーが何度も僕にしてくれたように、今度は僕がリリーをかばう。命がけの償いは一瞬、甘やかな夢に思えたけれど、心の中で首を振った。そんなことしても意味はない。僕ではとてもダークロードにかなわない。死体が一つ増えるだけだ。

それならルシウスに頼んでみようか?ルシウスはリリーを知らないから、今は、ダークロードの口約束で問題は解決だと思ってる。リリーは必ずダークロードに逆らうはずだとすべてを打ち合け、僕と一緒にリリーを守ってほしいと頼んだら?でもそれもすぐに否定した。ルシウスは力もあるし僕にやさしいけど、無意味なことをする人じゃない。いつだって冷静に事態を判断する。僕がどうしてもダークロードに立ち向かうなどと言い出せば、バカを言うなとペトリフィカス・トタルス(石になれ)でも唱えかねない。それに、考えてみれば、仮にルシウスが僕に賛同してくれるとしても、こんな危険に巻き込むべきではない。ルシウスに留まらず、ナルシッサやドラコの身にさえ危険が及ぶのだ。ドラコの無邪気な笑顔を思い浮かべ、僕は大きく首を横に振った。

こんなのはただ、逃げてるだけだとわかってた。事態は僕やルシウスの力を超えている。リリーの命を守ることのできる人がいるとすれば、ただ一人。ダークロードに勝る力を持つ、もっとも偉大な魔法使い、ダンブルドアだけだ。リリーはダンブルドアの仲間なのだから、この危機を知れば、きっと守ってくれるはず。

でもダンブルドアに密告すれば、それは明らかな裏切りになる。ダンブルドアは、闇陣営がもっとも憎み、警戒する敵の首謀者なのだ。裏切りは死で購うのがデスイーターの掟。それに従い、僕は殺されるのだろうか?一瞬浮かんだ命への未練はすぐに消えた。僕の犯した過ちは、死に値する。死んで償えるなら、死ねばいい。だけど、ルシウスを裏切ることにもなるのだと思うと、胸が痛んだ。信じて一緒に歩んできた今までのすべてを裏切ることになる。その未練は断ちがたく、僕もルシウスみたいに、ダークロードの約束を信じて楽天的になれたらいいのにと願った。

隣ではルシウスが安らかな寝息をたてていた。僕が今持つすべてを与えてくれた人。僕を愛し、守り、信じてくれる人。慣れ親しんだ肌の温もりも、力強い心臓の鼓動も、すべてが愛おしく、それは僕の人生に与えられた奇跡のような恵みなのに・・・。

だけど、ごめんなさい、ルシウス。僕はあなたを裏切ることになる。僕のせいでリリーが死ぬのを受け止めることなんてできない。

これから僕はあなたに嘘をつき、あなたの陣営の未来を敵に売る。あなたを想えば耐えがたいことだけど、リリーの命にはかえられない。リリーは僕の魂に命の灯をともしてくれた。あなたを慕い信じることができるもの、リリーのおかげだ。もし僕がこの手で危機に追いやったリリーの命を見捨てれば、その罪は僕を内側から蝕み、食い尽くし、僕は魂の抜け殻となり果てて、あなたを愛する力も失ってしまう。僕を許してほしいとは言わない。僕だってあなたを裏切る自分を許せない。だけど僕にはこの道しかないんだ。

そして。

リリー、こんなふうに君を呼ぶのは久しぶりだよ。僕は君の姿を見失い、愚かな過ちを犯してしまった。ほんとうにバカなことをしたと、自分が呪わしくてならない。君の命を危険にさらすことになるなんて、思ってもみなかったんだ。してしまったことはどうにもできないけど、これから僕は、君の命を守るために全力を尽くすと誓う。どうか、リリー、君を守る力を、僕に与えて。為すべきことを為す勇気を、僕に。

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tag : ハリーポッター セブルス ルシウス リリー

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