スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛しのリリー3

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

5年生になる頃には、ポッターたちの嫌がらせは我慢ならないものになっていた。リリーがグリフィンドールになじみ、スリザリンに批判的なことを言うようになってきたのも不安だった。ポッターたちの弱みをつかんで、ホグワーツから追い出したい。そうしなければ、僕は居場所を、そしてたいせつなリリーを失ってしまうかもしれない。

彼らの行動をうかがううちに、奇妙なことに気がついた。月に1回程度、夕方になるとルーピンが姿を消し、夜には他の3人の姿も消える。4人で何か悪だくみをしているに違いない。それを調べようとルーピンの後を追った結果・・・。

ルーピンは人狼で、ブラックは僕を巧妙に誘って、人狼に襲わせようとした。まずいことになると思ったポッターが直前に僕を連れ戻したのだけれど。グリフィンドールびいきの校長先生の裁定で、事実は伏せられた。ルーピンのいつも周りの顔色をうかがう弱気な態度が思い出された。正体を明かせばたいへんなことになるからそれはしかたがない。けれど、ブラックは形ばかりの罰を与えられただけで、ポッターが僕の命を救ったヒーローになったというのは、どういうことだ。

リリーまでがそう思うと考えるとたまらなかった。心配になって僕はリリーにきいた。

「僕たち、親友だよね?」

「そうよ。だけどあなたが仲良くしているエイブリ―やマルシベールは嫌い。マルシベールは友達にひどいことをしたわ。なんであんな人たちと…。」

マルシベールがしたことなんて、ほんの悪ふざけだ。ポッターたちが僕にしてきたこと。歩いている僕に突然汚れたバケツの水をぶっかけて、それからシャンプーの泡だらけにしてべったり髪を洗えと辱める、便器に顔を突っ込ませて、せき込む僕を泣きみそと嘲る。何度も何度も、一人の時を狙って。それも恥ずかしくて人に、リリーに言えないような辱めを加えて。その挙句に人狼に襲わせた。殺そうとしたんだ。

ポッターたちがやったこんなことはほんの『いたずら』で、マルシベールがやったことは忌むべき闇の魔術だなんて、僕には納得できない。リリーまでそんなふうに思うんだろうか?

人生がフェアなものだったことなどない。僕はいつも貧乏くじを引く。だけどリリーはフェアな目を持っている。説明すればわかってくれるはずだ。

「マルシベールのしたことなんてたいしたことじゃないよ。ポッターたちなんて・・」だけど、決定的な暴れ柳事件の真実は話せないから、僕は口ごもった。

「ポッターはあなたを救ったときいているわ。」

「違う。ポッターはひどい奴だ。リリーまでポッターをヒーローだなんて間違うんじゃないかと心配で。」

「ジェームス・ポッターが傲慢で嫌な奴だってことは知ってるわ。」

その一言をきいてほっとした。やっぱり、リリーはわかってるんだ。リリーがわかってくれさえしたら、他がどういおうとどうでもいい。リリーはまだ何か言っていたけれど、僕は嬉しくてもうきいていなかった。


暴れ柳事件のとき、校長先生はブラックもポッターも反省したと言ったけれど、そんなはずないことはわかっていた。だから僕も用心していたんだけど。

学年末のOWL試験のあと、答案が気になって彼らに気づくのが遅れた。そして大勢の前でひどい辱めを受けて、僕は一瞬我を忘れてしまった。助けてくれたリリーに、なぜあんなひどいことを口走ってしまったんだろう。

「穢れた血」

スリザリンでは深い意味もなくマグルのことをそう呼んでいたけれど、僕はリリーのことを「穢れた血」なんて思ったことはない。リリーは僕が知っている、唯一の美しいもの。穢れない、清涼でまっすぐな心を持った人。

叫んだ瞬間に、怒りと悲しみでゆがむリリーの顔が見えた。僕の心の中にずっと灯っていた温かい光が、ガラスのように粉々に砕けるのを見るようだった。

夜、グリフィンドール塔を訪れて、何度もリリーに謝った。そんなつもりはなかった。そんなふうに思ったことはない。屈辱で我を忘れて思わず口走ってしまっただけだ。どうか、許してほしい。リリー。リリー。

だけど、リリーは許してくれなかった。もう僕とは話したくない。顔も見たくないと。


悪いのは僕だ。あんなふうにリリーを傷つけてしまった。僕を追い詰めたポッターやブラックが憎くてたまらない。だけど。リリーが離れていったのは、ポッターたちのせいではなく、僕の放った言葉のせいだった。その直前まで、リリーは僕を守るために、ポッターに立ち向かい、勇敢に行動してくれたのだから。僕が悪かったのだ。ポッターたちに辱められ、逆上してリリーを傷つけた僕が。

何度そう思っても、どんなに悔やんでも、もう謝罪の言葉を伝える術はなかった。

それでもあきらめきれなくて、試験の後の夏休みには、何度もリリーと会った公園に行ってみた。休みで家に戻ったときは、リリーとそうして会っていたから。成績の話をしたり、クリスマス休暇には寒い中プレゼントを渡してくれた。

だけど公園にリリーが現れることはなかった。

夏休みが終わってホグワーツに帰ると、もうリリーの目に僕は見えないかのようだった。ポッターたちの目を避けて、禁じられた森の近くで、話をしたり、薬草をつんだり、教室の離れた席から目配せしたり。そんな日々はもう戻らない。

僕は研究にのめりこんだ。新しい呪文をつくっても、魔法薬の改良法を考えても、もう目を輝かせてきいてくれるリリーはいなかったけれど、心の中で砕け散った灯のかけらを少しずつ寄せ集めて、小さな種火みたいなリリーに話しかけていた。

もっと勉強して、ポッターなんかに負けない強い魔法使いになったら、きっとリリーは許してくれる。そして、リリーは闇の魔法は嫌いだから、2人でまた魔法薬をつくるんだ。そんな日は来ないかもしれないとは思ったけれど、そう思わないと耐えられなかった。

「リリー、僕は強くなる。だから許してほしい。」

毎晩話しかけるうちに、リリーもたまには幼い笑顔を見せてくれるようになった。


そして、魔力を磨いた僕を招いてくれたのは、リリーではなくて、ルシウスだった。一生懸命とりくんだ闇の呪文を褒められるのは誇らしい。それも、あの、憧れたマルフォイ先輩に。自尊心をくすぐられ、孤独が癒される。大きな胸に抱き寄せられる安心感は何物にも代えがたい。

それでも僕は、心の中のリリーのかけらに話しかけている。このリリーが消えてしまったら、僕はもう僕ではなくなると思う。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : セブルス リリー ハリーポッター

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。