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ルーピンの物語8

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

それから、4人+リリーで一緒にいることが増えたけれど、リリーも僕も、スネイプに関するその会話はなかったかのようにふるまった。いや、ジェームスたちが『いたずら』をやめれば、そもそもスネイプのことはもう話題にならなかった。

ジェームスはつまり、リリーと仲の良いスネイプが気に入らなくて嫌がらせをしていたわけだ。闇の陣営は憎んでいるけれど、2人が離れたなら、へたにかまってまたリリーを怒らせるのは避けたいだろう。

シリウスは家の問題を抱えていた。純血主義で伝統的にスリザリンのブラック家の長男として、ずっと家族と争っていたらしい。だから、闇の魔法に長け、あえてスリザリンを選んだスネイプがますます気に入らなくていじめていた。家族との争いは、この休みに、シリウスが家を出てジェームスの家に滞在するという形で一応決着したらしい。気が晴れたシリウスはスネイプいじめに興味をなくしたわけだ。

といっても、グループでのいじめや嫌がらせをしなくなっただけで、2人ともスネイプと顔を合わせれば杖を向けてやりあってはいたようだ。これはもう、相性の悪い者同士のケンカといえるもので、実際僕がそのことに気づいたのは、ジェームスやシリウスが時々ケガをして、口惜しそうにスニベルスにやられたと言っていたからだ。リリーには内緒だぜとジェームスにウィンクされた。

そんなこんなで、それに年齢的にも少し大人になって落ち着いてみれば、ジェームスもシリウスもこの上なくよい友人だった。なんといっても、人狼である僕を、初めて受け入れて支えてくれた友達だ。

最悪の思い出としかいえないようなことが多い僕の人生だけど、少ないながらすばらしい思い出もあるわけで、それを与えてくれたのがこの2人だった。

僕の最良の思い出。それはホグワーツ1年も終わり頃の満月明けのことだった。医務室からふらつきながら塔に戻り、ベッドに倒れこんだ。少し休んでいると、ジェームスとシリウスが部屋に入って来た。

「体、大丈夫か?」

「うん。ありがとう。」

「リーマス、言おうかどうしようか迷ったんだけど、隠し事はやめようと思うんだ。僕たち、たぶん、君の秘密を知っているよ。」

一瞬頭が真っ白になった。いや、真っ暗だったかも。僕が人狼だと、気づいたんだ。もう終わりだ。一生懸命隠してきたのに。せっかくホグワーツに入れてもらえたのに。ダンブルドア先生に言って忘却術をかけてもらおうか。でもまた気づかれるだけだ。

覚悟を決めて、糾弾され忌み嫌われる覚悟を決めて、僕は言った。

「僕の秘密って、なんのこと?はっきり言ってほしいな。」

「リーマス、君は」

労わるような眼差しを向けて、ジェームスが続けた。

「人狼だろう?」

そうなんだ。

でも、声にならなかった。今まで、正体が明かされるたびに起こっていたことを思い出す。親切だったおじさんの顔が嫌悪に変わる。友達だった子供に石を投げられる。友達のお母さんから、うちの子に近付かないでと悲鳴をあげられる。いつだって、嫌悪と恐怖のまなざし。そして排除。

僕は小さくうなづいた。その瞬間、ジェームスが僕の肩に腕をまわした。ふわっと、抱きしめるように。

「たいへんだったね。一人で。隠すのもたいへんだっただろう?」

意味がよくわからなかった。

「うつむくことはない。よく頑張って、君はえらいよ。僕は君と友達であることを、誇りに思っている。」

向かいでシリウスが泣きながら強くうなずいていた。気がつくと僕も泣いていて、シリウスは僕の両手をしっかりと握りしめていた。

魔法界で忌み嫌われる人狼の呪い。呪いを受けた僕を抱きしめてくれる友達ができるなんて、思ってもみなかった。

それから、もう1人の仲間にも言うべきだということになって、僕が了解すると、ピーターにも事実を告げた。ある意味特別なジェームス、シリウスと違って、普通の魔法使いのピーターが受け入れてくれるか不安だったけれど、もう一人じゃない、友達ができた僕は少し勇敢になれた。3人でピーターに告げた。

ピーターは驚いて、一瞬体を退けそうになったけど、なんとか踏みとどまった感じで、それでも言ってくれたんだ。

「リーマス、かわいそうに。僕たちは何があっても友達だからね。」

一瞬の反応は、魔法界で育っていれば当然のことだ。それでも友達だと言ってくれたピーターは、特別な人じゃないだけに、勇気をふりしぼってくれたのがわかる。ピーターはやさしいんだ。

それからは、3人がカバーしてくれたから、満月前後の不調や不在を前よりずっとやり過ごしやすくなった。事実を知って受け入れてくれる友達がいると思っただけで、僕の学校生活は一変した。いっきに、明るい楽しいものになった。

その上彼らは僕に内緒で、数年かけてアニメガスになって、変身しているときも僕と一緒にいてくれた。残念ながら変身中の記憶はないけれど、変身後の体に傷が残らなくなったのをみると、狼の僕も幸せだったんだと思う。

彼ららしからぬ「スネイプいじめ」さえなければ、この上ない友達、僕の宝、僕のすべてだった。そして7年次、少し大人になって、『いたずら』もおさまった。スネイプのこと、スネイプに彼らと僕がしたことを思うとチクリと胸が痛んだけど、それより、彼らと一緒にいられることの嬉しさがまさった。

一緒にいると、ジェームスのリリーに対する献身は見ているほうが照れるほどで、笑いながらあしらっていたリリーも、徐々に心を許していった。そして、なんと、2人はつきあうようになったのだ。5年生の頃を思うとありえない展開だけど。ヒーローのジェームスと、美少女優等生のリリーは、文句のつけようのない似合いのカップルだ。

勝負の早いシーカーのジェームスだけど、リリーに関しては、粘り強く7年近くを費やして愛を勝ち得たわけだ。ヒーローの笑顔の陰で、スネイプを踏みにじったわけだけど。スネイプのことを考えると、つい、ジェームスに対して皮肉な気持ちになってしまう。自ら輝く光のようなジェームスから闇を引き出したスネイプは、それはそれですごいけど、彼自身が闇の固まりとは思えない。

スネイプはおぼろ闇の中で、小さな灯りをたいせつに守っているように思えた。僕が人狼という闇の中で、ジェームスたちの友情を灯りとして生きてきたように。スネイプの灯りは、たぶんリリーが灯したものだ。リリーを失い、今はマルフォイの傍らで、幸せそうではあるけれど。

リリーと一瞬目があった。目をそらしたのはリリーだった。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)それから、4人+リリーで一緒にいることが増えたけれど、リリーも僕も、スネイプに関するその会話はなかったか...
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