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ルーピンの物語9

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)

そして僕たちは、ホグワーツを卒業した。

7年前、孤独を胸に一人ホグワーツ特急に乗った僕は、思いがけず深い友情を得て巣立っていく。喜びも悲しみも、そして苦い思いも、すべては彼らとともにあった。ジェームス、シリウス、ピーター。かけがえのない、僕の友達。僕のすべて。

その頃魔法界は、闇の陣営が勢力を増し、混迷を深めていた。マグルやマグルびいきの魔法使いの誰それが、襲われたとか死体で発見されたとか行方がわからなくなったとか、そんなニュースが多くなっていた。

リリーを含め僕たち5人は、ダンブルドア先生から声を掛けられて、卒業とともに『不死鳥の騎士団』に加わった。闇陣営はたくみにその全容を隠していて、魔法省への浸入もささやかれていた。ダンブルドアが結成した『不死鳥の騎士団』は、魔法省とは別の有志の集団として、情報を集めたり、デスイーターの破壊行動を防いだり、闇陣営の勢力拡大を抑える活動をしている。

人狼は安定した職業につくのが難しい。世の中ではあいかわらず恐れられ嫌われているから、正体を知られずに長期間働くのは難しくて、農場や工場を転々とするしかなかった。そうして生計をたてながら、騎士団員として人狼のグループが闇陣営に回るのを防いだり、その実態を探ったりするのが僕の主な任務だった。もちろん、デスイーターの襲撃があったときには、他の騎士団メンバーとともに駆けつけて戦うこともある。

すっぽりとフードに身を隠したデスイーターたちは、その正体がわかりにくく、彼らの仲間内でも全メンバーを知るのはヴォルデモートだけのようだった。人々は誰がそうなのかわからない闇陣営に怯え、なりをひそめて暮らしていた。

だけど、暗い世相の中にも幸せはある。ジェームスとリリーは、卒業後まもなく結婚した。美男美女の新郎新婦に、美形のベストマン、シリウスまで加わって、盛大ではないけれど、華やかで温かい結婚式だった。皆に祝福されて、愛する女性とともに家庭を築いていく。僕には手が届きそうもないけれど、ジェームスの幸せを守っていきたいと心から思った。

その少し前に、ルシウス・マルフォイの結婚が日刊予言者新聞で報じられた。相手はナルシッサ・ブラック。シリウスの従姉だ。純血の名門どうしを結ぶその結婚のニュースに、ふとスネイプはどうしているだろうと頭をかすめ、ニュースの写真に目を凝らして見ると、なんとマルフォイのベストマンとして新郎新婦の傍らに仏頂面して映っていた。

7年生のときにリリーから又聞きした噂「スネイプはルシウスの恋人」の真偽はともかく、お気に入りであったのは事実のようだ。

そこが君の見つけた居場所なんだね。なんとなくスネイプと話したくなったのは、ホグワーツ卒業後、僕が居場所を探しあぐねていたからかもしれない。有力デスイーターと噂されるマルフォイとともにデスイーターになったのは間違いないだろうけど、そのイメージは、僕にはしっくりこなかった。たぶん、僕がスネイプの治癒呪文をきいたことがあるせいだと思う。

やがてジェームスとリリーにハリーという子供が誕生して、ジェームスの家で久しぶりにグリフィンドールの仲間が顔を揃えた。騎士団の集会などで顔を合わせることはあっても、それぞれの生活がある今は、学生時代のようにいつも4人で、というわけにはいかない。

ジェームス、リリー、ハリーのゴッドファーザーになったシリウス、それにピーター、僕。ジェームスの新居で小さなハリーを囲んで、この上ない幸せなひと時だった。ハリーを抱くリリー、それを誇らしげに見守るジェームス。大騒ぎしてリリーにたしなめられるシリウスとピーター。こんな世の中でも、人は愛し合い、子を育み、友と喜びを分かち合う。友達と過ごす安らぎに身をまかせながら、僕は、この幸せがずっと続くと信じていた。

この日のことを、あとで何度も思い返した。この幸せが、1年も過ぎないうちにああも見事に崩壊する兆しなど、どこにも見当たらない。この中にすでに裏切りの芽が潜んでいたとは、僕にはどうしても信じられない。

まもなく、騎士団の集会で、ハリーがヴォルデモートに狙われていると告げられ、ジェームス一家は安全な場所に身を隠すときかされた。そしてそのうち内部に裏切り者がいるとささやかれ始めた。僕は人狼グループの情報収集という任務を与えられて、しばらく本部から遠ざかった。ジェームスたちのことは気になったけれど、シリウスにきいても歯切れが悪く、あとで思えば、僕こそ裏切り者かと警戒されていたのだ。


そしてあの日。1981年のハローウィンの翌日。

僕はすべてを失ったと知ることになる。

忠誠の術で守られていたはずの、ゴドリックの谷にあるジェームスの自宅が、ヴォルデモートに襲撃された。幼いハリーを残してジェームスとリリーが死亡。ヴォルデモートの姿も消えた。そしてピーターとマグルを含む10名以上を殺して逃亡した裏切り者の『秘密の守人』、シリウスが捕えられ、アズカバンに送られた。

生き延びた子、ハリー・ポッターを称え、喜びに沸く魔法界。その中で一人。生き残ってしまった僕。

ダンブルドアを訪ね、事実を確認した。

「なぜ、こんなことに・・・」

「間違った人を信じてしまったのじゃ。わしも、ジェームスも。信じてはならぬ者を信じ、信ずべき者を疑った。」

「ほんとうに、シリウスが裏切ったのですか?」

ダンブルドアは肩を落としてうなづいた。

「事実がそれをあらわしておる。」

「ジェームスたちが、私のすべてでした。私は・・・私はこれからどうしたらいいのでしょう?」

「ハリーがおる。リーマス。ハリーが。ヴォルデモート卿は必ず復活する。そのときに再び危険にさらされるハリーを守るのじゃ。」

うなづいたものの、僕には進む道が見えなかった。
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(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)そして僕たちは、ホグワーツを卒業した。7年前、孤独を胸に一人ホグワーツ特急に乗った僕は、思いがけず深い...
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