スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ハローウィンの後2

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


ダンブルドアの指示で、私はホグワーツの一室に留まることになった。

デスイーターとして魔法省から手配されたが、罪状を決める評議会でダンブルドアが擁護してくれたおかげで、アズガバン収監を免れた。私の罪は何をもってしても償えないが、リリーの思い出をディメンターに吸い取られて生き続けることなど耐えがたい。ダンブルドアの恩には必ず報いねばならない。

デスイーターの一部はダークロードを探して襲撃を続けている者もあり、裏切り者として、私も追われる身だ。逮捕されるデスイーターもいたが、ダークロードの秘密主義が功を奏して、その全容はなかなか明らかにならない。沈黙を守り嵐が過ぎるのを待って身を潜めている者もいるはずだ。

皆私の元仲間たちであり、知らぬ者もいたが、一部はスリザリン時代からの友人だった。その立場から言えば、ダークロードに追随したのは、その主義主張に心から傾倒していた者ばかりではない。貧しさや、あるいは魔法界での立場の弱さから、そこにしか生きて行く場所を見いだせなかった者もいる。病気の家族を養うために力を求めたマルシベールなどには、密かに同情していた。私を含め、誤った道に進んだわけだが、ホグワーツ生徒時代、私とともにいてくれたのは彼らだけだったのだ。リリーをのぞき。

私は穴倉のようなホグワーツの一室にこもり世の喧騒を逃れていたので、予言者新聞だけが外の空気を運んで来た。ダークロードの消失に魔法界は喜びに沸き、その陰でひっそりと、いくつかの葬儀が執り行われていた。ある者は英雄という名の死者として。またある者はようやくその遺体が家族のもとに届けられ。

リリーの葬儀についても、予言者新聞で知った。もともと出席するつもりもなかったが、元デスイーターとして、公の場に行く立場ではない。「生き延びた子ハリー・ポッター」の両親、偉大なる英雄ポッター夫妻の葬儀は、多くの参列者を迎えて行われたようだ。

葬儀のとりまとめ役の名は、ポッター、エヴァンズ両家ではなく、リーマス・J・ルーピンとなっていた。

ルーピン?

私に嫌がらせするポッターとブラックとペティグリューのそばで、いつも気弱に目を伏せ、見て見ぬふりをしていた少年。人狼と知り、責める気が失せた。狼に変身するその忌まわしい姿より、自傷だらけの体でひたすら許しを求めた姿が脳裏に浮かぶ。

一人残ってしまったわけだ。意思を曲げても共にいることを選んだ3人の友を失って。それもブラックの裏切りでポッターが死に、ペティグリューたちを殺した犯人としてブラックは終身アズガバンという、最悪の結末。皮肉なものだな、ルーピン。私と同様、お前も、自分が死ねばよかったと思っていることだろう。

ポッターとともにいて、私と交友を絶った後のリリーのことも知っているはずだ。横柄なポッターなどと結婚して、リリーは幸せだったのだろうか?本質を見誤ったと後悔してはいなかっただろうか?結局のところ、ポッターの息子を産んだこと、私が予言をダークロードに伝えたこと、そしてブラックの裏切りがリリーを殺したのだ。なぜブラックなんかを信じたのだ?ヤツは5年生の時にすでに殺人を犯す資質をあらわしていたのに。。。なあ、ルーピン、どう思う?

胸の内でルーピンに語りかける自分に気づき驚いた。リリーの死後、リリー以外に語りかけるなどなかったことだった。同病相哀れむというやつだな。皮肉な笑みさえ浮かぶ。

しばらくは死んだも同然と思っていた我が身だが、認めたくはないが、一人こもって暮らすうち、少しずつ、リリーの死を認め、受け入れ、自分を生き始めているのか。

「リリー、すまない。僕は生き残ってしまった。僕は君の遺志を継いで、生きていく。必ず君の息子を守る。」

胸の中の灯の跡に語りかけ、私は浅い眠りに落ちた。


忘れられぬハローウィンの日から2カ月近くが過ぎ、この年も終わろうとしていた。ようやく魔法界も表面的には落ち着きを取り戻したようだ。

ダークロードを探し続けていたデスイーターの残党も捕らわれ、裁判も終わった。カルカロフのように仲間の名前を明かして罰を免れようとするデスイーターもいて、私の名まであげられたが、それはダンブルドアが押し切ってくれた。ただ一つの気がかりであったルシウスの名は、デスイーターとして挙がることはなかった。

ルシウスがデスイーターであることはなかば公然と語られていたことであったから、魔法省との間でなんらかの裏取引が行われたか、マルフォイ家の威光かわからないが、とにかくルシウスは難を逃れる術を知っていたと思われる。いずれにしても、私がマルフォイ家に滞在するようになってからは、婚約やら結婚やら出産やらで、ルシウスがデスイーターらしい活動をしていたのは集会に出ていたことくらいだ。襲撃のような罪に値することは、実際していなかったのかもしれない。

ダークロードは純血家系の繁栄に好意的だったから、むしろルシウスには子作りに専念しろと言わんばかりだった。名門ブラック家では、シリウスは敵サイドにいってしまったし、レギュラスはいつの間にかいなくなり直系は途絶えたようなもの。彼らの従姉たちも、長女のベラトリックスはレストレンジと結ばれたものの何年も子供ができないし、アンドロメダはマグルに嫁いだ。ナルシッサがマルフォイ家に嫁ぎ、純血名門両家をあわせて次世代が見込めるのはお前のところだけだ、などとダークロードに尻を叩かれたとルシウスがこぼしていたことさえある。それで私まで巻き込まれたものだ。

クリスマスの騒ぎにまぎれて、ルシウスにふくろう便を送った。魔法省にデスイーターの過去を知られている私からの連絡が災いを招いてはいけないと控えていたのだが。用心のため、短く用件だけを書いた。

「あれ以来、ホグワーツにいる。SS」

すぐに折り返しふくろう便が届いた。

「今はダンブルドアの元なら一番安全だ。もうしばらく留まるがよい。息子も元気だ。LM」

肩の荷が下りた。ダークロードの威力が消えた今、私のダークロードに対する裏切りなど気に留めていない、身の安全こそたいせつにしろというメッセージ。

私はルシウスの、狡猾ともいわれる功利主義に安心する。実にわかりやすく、明快だ。身近に暮らすなかで憧れや恋の幻影が薄れても、ルシウスのこのわかりやすさは居心地良く、許せてしまうのだ。ときに苦々しく思うことはあっても。正義感とか厚い友情とかを振りかざされても私にはよくわからない。「正義」などそれぞれの立場に存在するし、厚い友情は対象外への迫害になりかねない。美徳をまとうことで抗いがたくさせるうさんくささを感じる。

そして、短い伝言の中でドラコに言及したこと。これは今でも私を家族同然と思っている、ということだろう。死人のように冷え切っていた体に、少し温もりがもどるように感じられた。

スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【ハローウィンの後2】

(これは『ハリー・ポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)ダンブルドアの指示で、私はホグワーツの一室に留まることになった。デスイーターとして魔法省から手配された...
プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。