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死に向かうハリーの気持ち

ネタバレあり

ハリーポッター』シリーズは、幼いときに家(home)のなかった少年たちの物語でもありました。

最終巻、スネイプの記憶で死すべき使命を知ったハリーは、透明マントを着て戦いの最中のホグワーツを歩くなか、ジニーが「おうちに帰りたい」と言っている少女をなだめているのを目にします。ハリーも、これから死に向かうのではなく、家(home)に帰してほしいと思った。けれど、

He was home. Hogwarts was the first and best home he had known. He and Vardemort and Snape, the abandoned boys, had all found home here... (558)

ハリーとヴァルデモートとスネイプ、見捨てられた少年たちにとってホグワーツこそ初めての家homeだった。

そしてハリーは、恋人ジニ―に語りかけることも振り返ることもなく、ヴァルデモートに殺されるべく禁じられた森への歩みを進めます。

この部分、とっても好きです。

ハリーが、今までの様々な感情や理屈を乗り越えて、感性でスネイプを理解し共感した瞬間だと思います。

記憶の中のスネイプが、ダンブルドアからハリーは死ななければならないと聞いた時にあれほどのショックを示しながら、やがて受け入れ、ダンブルドアの指示に従いハリーを導いた理由を、ハリーは悟ったのではないでしょうか?

初めて得た家home、ホグワーツを守るため。もちろん、建物としてのホグワーツではなく、子供たちが住み、笑ったり泣いたり悩んだりしながら、温かく見守られて育ってゆく場所、家庭、家族。

同じように見捨てられた子供時代を体験をし、ホグワーツで初めて家を見つけた3人の少年。ヴァルデモートはそれを破壊し支配しようとしています。スネイプはそれを守るために、命をかけ、スパイという危険な立場で一人ヴァルデモートの前に立ち、死にゆく中でも使命を果たしたました。自分も、ヴァルデモートと共に死ななければならない。ホグワーツや、ホグワーツで育まれるもののために。


17歳のハリーが、自らの死に立ち向かう決意するのはたいへんなこと。それまでのハリーの心の動きを追ってみます。

ハリーが見たスネイプの最後の記憶は、校長室を出てディーンの森に向かうスネイプの背中でした。ハリーは、まるで、たった今出て行ったようだと感じます。

記憶を見終わり、ハリーは、ヴァルデモートの手にかかり死ぬことが自分の役割だという真実を知ります。生き延びる道はなかったのだと。

死の恐怖に打ちひしがれ、今までは生きるために死の恐怖に立ち向かったことを思います。自覚ないまま瞬時に死ねたらよかった、ヘドウィックのように、とも思います。せめて愛する者のために杖の前に身を投げて死ぬのなら、と両親のことさえ羨みます。

ダンブルドアの裏切りを思います。ダンブルドアは大きな計画を持っていて、ハリーを守ってくれたのはそのためだった。ホークラックスを壊す役割をホークラックスである自分に与えた。他の犠牲者を出さず、屠殺されるために生かされた自分にやらせる。もしその過程で自分が死んでも、ホークラックスが1つ減るという素晴らしい計画。ダンブルドアもヴァルデモートも、ハリーが自分のために他の人が死ぬのを見過ごせないことを知っている。
すべてのホークラックスをハリーが壊せぬまま死に至っても、、実際まだナギニが残っている、、そのときのためにロンとハーマイオニーにハリーの任務を知らせた。周到な計画。それに沿って自分は死ななければならない。

ロンとハーマイオニーは遠く感じられました。知れば引きとめるであろう彼らに、サヨナラも説明もしないことを決めます。

死ななければばならないのだと頭で理解しても、受け入れ立ち向かう決意をするのはつらいことです。まだほんのわずか、誰かに止めてほしいと願う思いがある。

途中ネビルに会い、ナギニを倒すよう頼みます。自分が死んでも、かわりにロン、ハーマイオニーと3人で最後のホークラックスを壊してくれるように。

そして、透明マントを着た状態で、恋人ジニ―をみかけるわけです。「おうちに帰りたい」という少女を励ますジニ―に、死に向かう自分を止めて、引きずってでも家に連れ帰ってほしいと願います。

けれど、ここホグワーツこそ初めて見つけた家。ホグワーツを、家homeを、この仲間たちを守るのだと、スネイプへの理解と共感とともに、自ら死に向かう使命を果たす決意をし、ジニ―を振り返ることなく、歩みを進めたのです。

なんか、父親の背中を見て育つ子供って感じで、ぐっときます。憎まれ役を引き受けて、命をかけて使命を果たしたスネイプの人生が報われる気がします。戦い後に、予想外に生き延びたハリーは、「親孝行、したいときには親はなし」の気持ちを味わったでしょうが。

その後ハリーは、禁じられた森の中で『蘇りの石』で呼び出した、ジェームス、シリウス、ルーピン、リリーに見守られながら、ヴァルデモートのもとまで行くのでした。

19年後、ハリーはアルバス・セブルスと名付けた二男に、スネイプはハリーが知るなかで最も勇敢な人だったと言っています。自ら死に向かう勇気を与えてくれたのはスネイプだったと思っているのではないでしょうか。
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テーマ : 感想 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリー ハリーポッター スネイプ

コメント

突然失礼します。

私も同じことを感じました。ハリーは大切なものを守るために最後にはたった一人で立ち向かいますよね。それまではロンやハーマイオニーに相談し助けられてきたのに、最後には何も言わずに行きます。それはきっとスネイプの思いを知ったからだ、彼と同じ道を歩む決心をしたのだと思い、涙が止まりませんでした。スネイプ目線で最初はいけすかない嫌なガキだと思って読んでましたが(笑)ラストはハリーの成長ぶりに感動しました。この本は何度読んでも、幾つになって読んでも、素晴らしいなと思います。

ヘドウィグさん

コメントありがとうございます♪
お返事が遅れてすみません。

ハリポタは人により、また読むたびに様々な感じ方があるので、同じように感じられる方がいるとなんとなく嬉しいものです。
私もハリーのこと、特にスネイプ先生に対する態度にむかついて、いけすかないガキだと思っていましたが、この部分で評価が一変しました。スネイプの痛み、孤独、勇気を、ハリーほど深い所で理解できた人はいないと思います。

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