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セブルス・スネイプの同窓会(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


月末が近づき、まもなくルーピンが来てから初めての満月の夜が来る。脱狼薬の調合がもう少しで終わる頃、ルーピンが部屋にやって来た。

「セブルス、脱狼薬をもらいに来たよ。少し早いけれど、調合する姿を見たいと思ってね。」

「そこに座って待て。」

私はルーピンをソファに掛けさせ、最後の仕上げで丁寧に鍋をかき回した。魔法薬の調合は、最後まで気を抜いてはいけないのだ。

「君は昔から調合が上手だったね。魔法薬の授業で君の器用な手さばきを見ると人間技とは思えなかったよ。」

「人間でないのはおまえだ、人狼。」

「君はリリーと2人でよく鍋をのぞきこんでいたよね。」

突然リリーの名が出て、私は心臓が止まりそうになった。動揺を隠し、ちょうど出来上がった薬をゴブレットに入れてルーピンに差しだす。

「飲め。」

ルーピンは取り上げたゴブレットをこわごわと口につけたが。

「うひゃー!苦いっ!ねえ、セブルス、君これ飲めるの?砂糖入れていいかな?」

「私は飲む必要がない。ルーピン、私は脱狼薬をつくるために、何日も書物を読みあさり、苦労して適した薬草を入手し、マダム・ポンフリーからお前の体重をきいて、細心の注意を払って時間をかけて調合したのだ。それを砂糖を入れてだいなしにしたいというのか?」

「ごめんね、セブルス。感謝してるよ。ただあまりにも苦くて、うげっ。」

ルーピンは無駄口をたたきながら、ちびりちびりと、少しずつ飲み込んでいる。

「生徒たちはかわいいし、おしえるのは楽しいね。うぐっ」

「ボガートを使って私を笑い者にするのはさぞかし楽しかっただろうな。」

「そんなつもりはなかったんだよ、うひゃっ、ネビルに自信をつけてあげたくてね。」

私は相手にするのをやめて、ただゴブレットの減り具合を監視した。

「ハリーに会ったよ。ハリーは、、リリーに似ているね。優しくて勇敢で。」

「ポッターの話など聞きたくない!」

「確かに見た目はジェームスに似ているけど、性格はリリーに似ているよ。瞳の色も。君はリリーと仲がよかったじゃないか。うぐっ」

リリーの名前を連発するのはやめろ、心の中で叫びルーピンをにらみつけた。

「リリーは君が帰ってくるのを待っていたんだよ。それなのに君はルシウス・マルフォイのもとに行ってしまったんだ。」

「なんだと?」

「6年生の時にリリーが君と口をきかなかったのは、ジェームスが君をかまうのをやめさせたかったからさ。それにもちろん、君が反省してくれるのも望んでいたよ。」

リリーが、リリーが私が戻るのを待っていただと?それでは私たちはまた友達に戻れたのか?、、、私は動揺のあまり目まいがしてきた。

「なのに君がマルフォイの、、、恋人になったときいて、、、セブルス、セブルス、どうしたんだ?」

床が揺れ、ルーピンの声が遠のいていった。

*************************************

突然崩れるように倒れ始めたセブルスを、なんとか抱きとめ、黒いローブに包まれた体の軽さに驚いた。食うにも困るような惨めな生活をしていた私と違い、セブルスはホグワーツの教授としてずっと恵まれた生活をしていたはずなのに、この軽さはなんだろう?

とりあえずセブルスをソファに横たえた。苦しそうに寄せられた眉間のしわ、額には汗がにじんでいる。ハンケチで押さえながらじっと顔を眺めると、、、こういう機会でもなければどんな辛辣な言葉が返ってくるかわからない、、、ほとんど学生時代のままに見えた。多少しわと陰りが深くなった程度だ。

ダンブルドアから闇の魔術に対する防衛術の教授に招聘されたとき、セブルスが脱狼薬をつくってくれるときいて、どんなに嬉しかったことか。結局のところ、人狼の私の正体を知っても忌避せずにいてくれたのは、仲間を除いてセブルスだけだった。しかも私の忌まわしい変身の姿を見ているのに。それがどんなに稀有なことだったか、卒業後に世間の風にあたり、身にしみて実感した。

脱狼薬も、ダンブルドアに言われたとはいえ、憎んでいるだろう私のために、渾身こめて最良のものを煎じてくれたのだろう。味はひどいけど。そういうセブルスの美点を見抜き、認めていたのはリリーだけだった。

あの日、愛する友をすべて一瞬にして失ってから、ただ一人残った、友達とは言えないけれど人狼の私を受け入れてくれた人に、特別な感情を持ったとて不思議はないだろう。学生時代にはかなわなかったけれど、私はずっとセブルスと親しくなりたかったのだ。同級生というのは不思議なもので、久しぶりに会うと、会わなかった何年もの年月がなかったかのように、当時の感情を呼び起こす。私にとっては友達になりたかった彼だが、彼にとって私は憎い敵の生き残りなのかもしれない。

それにしても、私の話の何がセブルスに気絶するほどの衝撃を与えたのだろう?私はただ、共通の知り合いで憎しみの対象ではなかったリリーの話をきっかけに、勇気はなかったがリリーと同じように君のことを思っていたと話したかっただけなのだけれど。

セブルスがかすかなうめき声をあげたので、私は気付けにブランデーを注いで、そっと肩を揺すった。

「セブルス、これを飲んで。」

セブルスはまだ、何が起こったかわからないようなぼんやりした顔をしている。背中を抱き起すと素直にグラスを受け取って飲んでいたが、回復するとテーブルに目を向け、脱狼薬のゴブレットを確認した。

「脱狼薬はぜんぶ飲んだよ。砂糖入れずにね。」

「そうか。用がすんだら出て行け。」

あんまりな言い様だとは思ったけれど、一人にしてほしいと全身で訴えているようだったので、私は立ち上がりドアに向かった。

「明日また同じ時間に来るよ。君もゆっくり休むんだよ。ありがとう、セブルス。」

予想通り、返事はなかった。


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(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)月末が近づき、まもなくルーピンが来てから初めての満月の夜が来る。脱狼薬...
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