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セブルス・スネイプの同窓会(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。時期は第3巻「アズガバンの囚人」)


ルーピンが部屋を出て行ってから、私はあらためてルーピンの言ったことを考えた。「リリーは私が反省して戻るのをまっていた。ルシウスのもとに行った私を見てあきらめた。」

リリーは、暗闇の中に一人放りだされたような惨めな子供の頃、たった一つ見つけた灯火だった。私の話しに耳を傾けてくれる者、私に微笑みかけてくれる者。私の痛みを気にかけてくれる者、ともに希望を語れる者。リリーを得て初めて私は自分が世界に存在することを認められたと感じられたのだ。ポッターのように、リリーを自分のものにしたいなどと思っていたわけではない。ただ、私の生活の中に、リリーにいてほしかっただけだ。リリーのいない世界に私の居場所などなかったのだから。

そのリリーに決別を告げられた時、私には闇の魔術しか残っていなかった。リリーと知り合う前の子供の頃のように。それしかなかったから、闇の魔術をきわめればリリーが戻って来てくれると思い込んで心血を注いだが、とんだ間違いだった。そんなことをする代わりに、私は闇の魔術に魅せられているけれど、それはマグルやマグル出身の魔法使いを痛めつけるためではなく、身を守るため、そして純粋にアートの美しさにひかれるのだと、わかってもらえなかったかもしれないけれど、伝える努力をすればよかったのだ。

再び暗闇に一人投げ出されてしまった私に、手を差し伸べてくれたのがルシウスだった。ルシウスは闇の住人だ。リり―のように私の世界に美しい灯りをともしてくれたわけではないけれど、大きな力で包み込んでくれた。あとになって、ルシウスが手を差し伸べたのは、闇の魔術に長けた私をしっかりと陣営に引き入れるためだったと気づいたけれど、それから16年、つないだ手を離すことなく包んでくれた。

いずれにしても、私の過ちはリリーの命を奪うほどの大事になってしまった。戻る術もなく、謝ることもできない。私にできることは、ただ残された息子の命を守ることだけなのだ。

やり直す術のない過去を引きずりだすルーピンが疎ましかった。しかし人狼が生徒たちに危害を加えぬよう脱狼薬を飲ませることが私の役割だ。そして、リリーを襲撃させた裏切り者のブラックをホグワーツに引き入れる手引をさせぬよう、見張っていなければならない。

****************************

それから毎日、同じ夕刻、脱狼薬を飲みにセブルスの部屋に向かった。初日の次の日、体の具合を尋ねたら著しくご機嫌を損ねたので、その後初日の気絶については言及しないことにした。

私は満月が近付くにつれて体調が悪くなり、けだるくてたまらない。脱狼薬を飲んでの変身は初めてだから、不安と緊張で、どんどん神経質にもなっていった。

「ルーピン、脱狼薬というのはだな、お前の生命力を最低レベルに弱めることで狼の活力を抑え込むものなのだ。免疫力も弱っているから、怪我や病気にも弱い。だるくなったらあきらめて休んでいろ。」

満月の当日、最後のゴブレットをようやく飲み干してテーブルに突っ伏した私に、セブルスが講義調に説明する。

「ねえ、セブルス、こんなに弱って、私は変身に耐えられるのかな?変身の苦痛で死んじゃったりしない?」

「残念ながらまだ、副作用を抑えるほどには開発されていないのだ。」

情緒不安定なうえに、頼れるのはセブルスだけなので、我ながら甘ったれて駄々をこねる子供のような口調になる。そんな私に、セブルスは自分の責任かのように答えてくれた。

「もう少ししたら叫びの屋敷に行くから、君がきちんと施錠してくれるよね?死んで出られないかもしれないから、翌朝には見に来てくれるよね?」

「叫びの屋敷に行く必要はない。今夜はここの寝室で夜を明かせ。」

「そ、そんなことはできないよ!狼が君を襲うかもしれないじゃないか。いやだ!人を襲うくらいなら死んだほうがましだ!」

「ルーピン、おまえは私をバカにしているのか?私が調合した脱狼薬を信用しないということだな。一歩間違えば死ぬほどの劇薬を飲ませた者に対して、私が責任を取らないとでも思うのか?」

「だけど万一ということもあるよ。君だって、そう言いながらこわくてテンパってるじゃないか。」

セブルスはムッとして杖を取りだした。

「万一のときには私がこの杖で殺してやる。」

今にもアヴァダしそうな顔で言うので、私はおとなしく黙った。セブルスはしもべ妖精に言いつけて食事を運ばせ、

「食欲はないだろうが、少しでも食べておけ。」

と言った。ちびちびとスープを舐めながら脱出の機会をうかがい、隙を見てドアに駆け寄ったが、そこで引きづり戻され、寝室に放りこまれた。もう月が上がる時間だ。私は観念して部屋のすみにいき、しぶしぶ服を脱いでうづくまった。セブルスは寝室に静寂呪文をかけると、ドアに張り付いて杖を向けたまま私を監視している。

そしてまもなく、体の奥から、体を打ち破るような狼のうごめき。自分の腕が狼の毛皮に覆われ、前足になっていくのをこの目で見た。それはやはりショックだった。何度となく繰り返してきた変身だが、変身した自分の姿の記憶はないのだから。それでもたしかに、私の、人間の意識がこの体を支配している。走りたいような、吠えたいような、襲いかかりたいような、狼の意識の圧迫は感じるけれど。意識を圧迫される、、それも不思議な感覚だった。ドアに張り付いて脂汗を流しているセブルスに話しかけた。

「セブルス、私はどうやら人間の意識を保っているよ!」

しかし聴こえてきたのは、ウォーン、ウォーンという狼の吠える声だった。セブルスは顔を引きつらせてのけぞっているので、アヴァダをかけられてはいけないと、尻を向けて尻尾を丸めこんで見せた。

「ル、ルーピン、意識はあるか?」

あるよ!セブルス、声が裏返っているよ!

「ウォーン、ウォーン、ウォウォーーン」

急いで頭でうなづいて見せた。セブルスは片手に杖をかまえたまま、部屋の隅に置いてあったデカンタから皿に水を入れて、私の近くに押しやった。

「水を飲め。」

ちょうど渇きを感じていたのでありがたい。舌でペチャペチャと水を飲むと、セブルスはようやく安心したように近付いてきて、おそるおそる背中の毛皮をなでてくれた。

「まるで犬だな。」

「ウォーン」

飛びのきそうになるセブルスの足に鼻先をのせて、そのまま丸くなった。

「甘えるな、狼。」

セブルスはそう言って足を引き抜くと、アームチェアーに行って腰かけた。私も着いていき、足元に丸くなる。セブルスは蹴飛ばしたりしないで、頭を撫でてくれた。

ダンブルドアの言葉を思い出す。

「セブルスはおまえには優しいからの、リーマス。安心してホグワーツに来るがよいぞ。」

私はセブルスの足元で、安心してうとうとと眠りに落ちる。誰かに見守られて眠るというのは、なんと安らぐことだろう。もう、一人ぼっちの私ではないのだと思うと同時に、体のどこかから、狼の満足げな意識が感じられた。狼もまんざらではないらしい。

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