スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと不死鳥の騎士団(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


不死鳥の騎士団は頻繁に集会を開いた。どちらの陣営も、敵方の動きを抑えながら自分たちの勢力の拡大を急いでいた。しかし勢力の拡大といっても、魔法省がダークロードの復活を認めない現状では、なかなか難しい。闇陣営の拡大を防ぐには、一般の魔法使いたちにダークロードの復活を知らせ警戒させることが一番なのだが、そのはたらきかけをするダンブルドアを、魔法省が牽制しているのだった。

初動段階として、騎士団の活動は、ハリーの護衛、予言の水晶玉が保存されている魔法省神秘部の見張り、加えてそれぞれが可能な範囲で陣営への同調者を増やす。

私はダンブルドアの指示に従い、人狼たちに接触してその動向を探り、できるだけ私たちの側に同調してもらえるように、そして闇陣営につかないよう説得を試みた。人狼は一般の魔法使いから離れて暮らしたり、あるいは正体を隠して転々と移動したりしているから、接触には手間がかかる。人づての情報をたどりながらグループを見つけ、私自身を信頼してもらうのにも一苦労だ。そこまでいっても、人狼たちの反応はよくない。ダークロードの復活を信じていないから、闇陣営が支配するようになったら人狼がどれだけ圧迫されるかということ以前に、現体制のもとでの不満がたまっているのもやむを得ないことだ。

久しぶりに本部に戻ると、多忙でめったに会合に出られないダンブルドアに代わり、セブルスが指揮をとるかの状態になっていた。闇陣営の集会に参加しているセブルスの情報は貴重だし、その任務上、報告したり、流す情報を打ち合わせたりとダンブルドアとも頻繁に会い、会合で彼の意向を伝えるからだ。といっても、ダンブルドアのような人々をまとめ上げるリーダーシップがセブルスにあるわけないから、ぶっきらぼうに言うべきことを伝え、報告させて引き上げるという具合だが。ただ、セブルスの到着とともに皆の気が引き締まるのは確かだった。

セブルスの話では、闇陣営側は魔法省のダンブルドア牽制の姿勢を歓迎してさりげなく煽り、自分たちは刺激するような目立つ行動は控えていた。そして密かに進められる企み、つまり、ハリーに関する予言の全文を入手することに注力しているとのことだ。


どちらの集会にも参加してスパイ任務を遂行するセブルスは、以前にも増してやつれ、剣呑さが際立っていた。二重スパイ任務は複雑で困難なものに違いない。立場を維持できる程度に、ダンブルドアともダークロードとも敵方に流してよい情報を打ち合わせ、、、もちろんダンブルドアにはすべて話しているわけだが、、、敵に囲まれてダークロードの前に一人立つのは、神経をすり減らす仕事だと思う。

しかしその鬱憤を晴らすかのようにシリウスに嫌味を言うのは、見ていていたたまれなかった。ダンブルドアに禁じられグリモールドプレイスの家から出られないシリウスに、自分が命がけで闇陣営の情報を得ている間に家の掃除ははかどったかと尋ねたりする。シリウスの悔しさを十分わかった上で、いたぶっている。

学生の頃からの経緯があるとは言え、シリウスの無実が明らかな今、セブルスには同情心というものがないのかと思う。考えてみれば、16年前のハローウィンの事件で、セブルスの仇敵の一人、ジェームスは死に、もう一人のシリウスは13年間無実の罪をかぶってアズカバンに収監された。アズカバンを出てからも、脱獄犯として逃亡生活をした挙句、今はいわば軟禁状態なのだ。ついでに言えば、仇敵のおまけのような私も、ホグワーツの1年を除けば、惨めな放浪生活だった。その間、セブルスはダンブルドアの庇護のもと、ホグワーツで恵まれた日々を送っていたはずなのに、私はともかく、シリウスの境遇を気の毒だと思わないのだろうか。

しかし、、、とふと思った。ダンブルドアはあの事件の前から、セブルスはこちらに戻り情報を流してくれていたと言っていた。なぜセブルスは戻って来たのだろう?もちろん、芯はまっすぐで優しいところもあるセブルスが凶悪な闇陣営を離れたのは不思議ではないが、しかしそれなら、そもそも闇の魔術が好きだっただけの少年を、私たちとの軋轢が闇陣営に追いやったのではないか?

学生時代の諍いが、再び悲劇につながることのないように、今度こそ私は勇気を持って止めたいと思う。学生時代には人狼ゆえにセブルスをかばえず、3年前には変身ゆえにシリウスの無実の証しを逃してしまった私の責務だ。それでも今は2人とも同じ陣営にいるのだから、希望は持てるのではないか?

つらつらと考えている間にセブルスは話を終えて立ち上がった。用がすんだら帰るというのが、スパイ任務のせいか、セブルスの性格のせいかはわからない。と、

「ルーピン、しばらくここに滞在するのか?」

突然名前を呼ばれて驚いた。

「え?あ、ああ、しばらくはね。どうして・・」

「では明日、今日と同じ時間にこの部屋に来い。わかっていると思うが時間厳守だ。私は時間があり余るけっこうなご身分ではないからな。」

シリウスにちらりと視線を送りながら嫌みたっぷりに言うと、あっけにとられる人々を残して立ち去った。隣ではシリウスが噛みつかんばかりにセブルスが出ていったドアを睨んでいる。アーサーが場をとりなす様に言葉をはさんだ。

「リーマス、何かあったのかい?特別な任務でもあるのかね?」

「さあ、それなら会合で言うと思うんですがね、アーサー。明日になればわかるでしょう。」

「リーマスに何か企んでいるなら俺が許さない。」

シリウスの殺気立った言葉にぎょっとした。

「シリウス、今は同じ騎士団の仲間なんだからね。心配はいらないよ。」

「スニベルスなど信用できるものか。」

セブルスとシリウス。どっちもどっちだ。この2人の相性といったら。少し前に持った希望が急速にしぼんだ。


翌日、同席するというシリウスを振りきれず、2人して時間厳守で待っていると、セブルスが現れた。私の顔を見るなりゴブレットを差し出して「飲め」と言う。ああ、私はすぐに気がついた。なぜ昨日思いつかなかったのだろう。

「脱狼薬を持ってきてくれたんだね。ありがとう、セブルス。助かるよ。」

「わかっていると思うが、ここにはウィーズリー家の子供たちが住んでいる。グレンジャーもいるし、まもなくポッターも来る。ルーピン、ポッターとグレンジャーとウィーズリーだ。ああ、ブラックもいるな。懐かしいメンバーではないか。」

1年前に私が脱狼薬を飲み忘れて、叫びの屋敷の外で狼に変身してしまったことを指摘しているのだ。なぜ君は親切にするのにそんな嫌味を言わなければできないのかとのど元まで出かかったが、セブルスとシリウスという、火薬と油を前に、着火マンのごとき言動は控えたい。発火の危機から少しでも早く逃れたい一心で、苦くてまずい脱狼薬を一気に飲み干した。あー、苦い!

「明日も同じ時間だ、ルーピン」

言い残してセブルスはあっという間に去って行った。


スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。