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セブルス・スネイプと謎のプリンス(1)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本期映画鑑賞後の、妄想です)

神秘部の闘いの衝撃が癒えぬままホグワーツは夏休みに入った。私は密かにマルフォイ邸に出向きナルシッサとドラコを慰めた。ルシウスに頼りきりだったナルシッサは途方にくれて涙をぬぐうばかり。ドラコには、なぜ父上とともに戦い守ってくれなかったかとなじられたが、アズカバンこそ安全な場所と言うわけにもいかず、ただ、ダークロードがすぐに出してくれるとなだめるしかなかった。長年、家族同然と言われ、私自身もそう思っていたマルフォイ家だったが、ルシウスがいなくなってみると、やはり、私一人他人だと感じざるをえなかった。ルシウスの不在が寂しかった。

スピナーズエンドの自宅に戻り、嵐にもまれたような数日間を思い返した。闇陣営の復活が世に知れた今、戦いはますます熾烈になるに違いない。今回は何とか任務を果たして生き延びられたが、この先どうなるのだろう。ダンブルドアは詳しい話をしないが、ダークロードを倒す手立てを考え、あちこち旅をしていたようだった。先が全く見えぬ今、ダンブルドアの指示を的確にこなしていくことしか考えられない。

ブラックの死も、意外に応えた。長年の仇敵ではあり、リリーの死の責任の一端を担う者としてディメンターのキスを受けさせてやりたいと思ったこともあったが、騎士団員の死は人ごとではなかった。私を含め、いつ誰が、このようにあっけなく死んでもおかしくないのが戦いの現実だと実感する。

ブラックは憎らしいバカな男だったが、その後半生は不運ではかたつけられぬ、哀れなものだった。無実の罪でアズカバンに収監されながら、仲間の誰一人救いの手を延べることもなかった。本人はずっとワームテールを秘密の守人にするよう助言した自分の過ちを悔いていたに違いない。私と同じような、愚かで、ろくでもない人生だ。私にはルシウスがいてくれたけれど、、、そのルシウスも今はアズカバンだった。何を考えても、鬱々と下気分になるばかりだった。


しばらくして騎士団の集会に行くと、鬱々としていたのは私だけではなかったようだ。皆ブラックの死に衝撃を受けていた。なかでもルーピンの落ち込み様はひどく、集会にも姿を現さず部屋に閉じこもっていた。集会が終わると、モリーにルーピンの様子を見てくれと頼まれた。私など適任ではないと辞退したのだが、ブラックが死んでからほとんど食事にも来ない、私は学生時代からの長いつきあいではないかと説得され、しかたなく渡された食事を持ってブラックの部屋をたずねた。今はルーピンが一人でこもっている。

ルーピン、私だ。開けろ。」

何度かドアを叩くと、死人のようなルーピンがのろのろと部屋を開けた。しかしそのままベッド脇のソファに戻り、頭を抱え込んでブツブツと何か言っている。

ルーピン、ひどい有様だな。」

ルーピンは顔も上げなかった。

「モリーが心配している。少しでもいいから、これを食べるのだ。おまえが落ち込んでいてもブラックは戻らない。」

肩を揺すぶるとようやく顔を上げた。

「やあ、セブルス。シリウスが、、、死んでしまった。」

「ああ、知っている。気の毒だったな。」

「やっと帰って来たのに、つらい思いをしただけで、また逝ってしまった。私のせいだ。」

ここにも一人、愚かでろくでもない人生を送る男がいた。

「おまえのせいではない。」

「私のせいだよ。君だって知っているじゃないか。私があの時変身しなければ、、、そうすれば無実が証明されてこんな家に閉じ込められることもなかったんだ。」

「この家にいれば安全だったのだ。」

苦々しい思いが募った。ブラックはなんと愚かなのだ。家にいるよう頼んだのに、勝手に戦いに出かけ、ただ一人の親友を残してあっけなく死んだのだ。

「他の皆が闘っているときに、自分の身の安全なんて考える性格じゃなかった。シリウスは、、、ハリーを助けるために勇敢に戦ったんだ。」

「そうだな。だが嘆いていても死んだ者は戻らない。とにかく、少しでもいいから食べろ。」

ルーピンはうなづいて、のろのろとスープを口元に運んだが、また話し始めた。

「シリウスの人生を考えると、、、やりきれないよ。無実の罪で12年もアズカバンにいて、やっと脱け出せたのに、大嫌いな家に閉じ込められて、そのまま、、、。私は親友だったのに、何もしてやれなかったんだ。ねえ、セブルス、少し飲んでいいかな?」

スープを腹に入れて、少しは元気になったらしい。酒を飲みたいということは、鬱屈した思いを払いたいということで、この状況ではそう悪いこととも思えなかった。私は杖でウィスキーのボトルとグラスを2つ呼び寄せて、注いでやった。思いを酒で紛らわせたいのは、私も同じだった。

グラスを傾けながら、ルーピンはブラックがどんなにすばらしい友人だったかとか、その人生のやりきれなさとか、自分が悪かったのだとか、えんえんとしゃべり続けた。私はただ相槌を打ちながら聞いていたが、落ち込んだ酔っ払いの愚痴など同じことを繰り返すだけなので、適当にうなづきながら、やがて頭の中ではルシウスのことを考え始めた。

子供の頃のことから、デスイーターになった時のこと、マルフォイ邸のゲストルームでの暮らし、そして2人で受けた報復、その後の互いのぎこちなさ。思えば私の傍らにはいつもルシウスがいたのだと、いや、私がルシウスの傍らにいたのか、、。すでにルーピンは酔い潰れてテーブルに突っ伏していたので、私は誰に遠慮することもなく思う存分ルシウスのことを考えながら飲んでいた。少しのつもりが、量を越したようだ。まぶたが重くなってきた。

セブルス?」

肩を抱えられて気がつくと、ルシウスがベッドに運んでくれていた。懐かしい笑顔。ダークロードの報復であられもない姿を曝した後、互いにぎこちなくなってしまっていたけれど、私はずっとこんなふうに抱きしめられたかったのだ。私をベッドに横たえると、大きな手が、ローブのボタンを一つずつはずしていった。もどかしくて、嬉しくて、首に腕を回して抱き寄せた。ルシウスの温もり。帰って来てくれた、私の元に。唇が首筋を伝い、背中を撫でる手が腰に下りてゆく。やがて、いつものように快楽が体を貫き、、、

「ルシウス!ルシウス!」

久しぶりの充足感に身を任せ、私は安らいだ眠りにおちた。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ハリーポッター ルシウス ルーピン セブルス

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