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セブルス・スネイプと謎のプリンス(4)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


「ああ。長い話の長い前置きだよ。子供のころからのことだからね。君も知っての通り、私は人狼だから、ホグワーツに入学してから、いつ正体がばれるかといつもびくびくしていた。できるだけ人に関わらないように気をつけてね。だから、毎月決まって‘病気‘になる私のことを気にかけてくれるジェームスとシリウスに、初めは実は警戒していたんだ。すぐに、その彼らがいつも見ている人がいることに気がついたよ。君さ。だから私もその頃から、いつも君を見ていたんだ。

案の定ジェームスとシリウスに正体を知られて、だけど、それでも友達でいてくれる彼らにすごく感謝した。自分の正体を知って友達でいてくれる人がいるなんて、思ってもいなかったからね。だけどその彼らは、君を嫌って、いつも隙をみてつけ狙っていた。

なぜ彼らがそう君を嫌うのか、不思議だった。私の目にうつる君は、たしかに闇の魔術に傾倒してはいたけれど、それを使って人に危害を加えるわけでもない、真面目で頭のいい生徒だった。人づきあいが悪くてぶっきらぼうなところはあったけれど、私には、それは孤独なだけに思えたよ。私もいつも孤独だったから。一人でいるほうが安心できるというのは、やっぱり孤独だよね。もっとも、当時の君にはリリーがいたけれど。君は気づいていたか知らないけど、リリーといる時の君の表情は、柔らかくてあどけなくて別人のようだった。」

そんな表情を私に向けてくれたのは、昨日が初めてだった。マルフォイと間違っていただけだったけれど。

「よく観察していたものだ。」

つぶやくように言ったセブルスの目にかすかに切なげな色が浮かんだ。きっとリリーのことを思い浮かべているのだろう。

「そうだよ。私は君を観察するのが習慣になっていたんだ。君は貧しい身なりで社交的でもなかったけれど、いつも毅然としていた。ジェームスたちの嫌がらせに対してもね。私は、君に好意を感じながら、納得できない君への嫌がらせに加担する自分が情けなかったよ。そして、、、暴れ柳事件だ。

私は人狼になった運命を、あの時ほど恨んだことはないよ。醜い獣になる姿を見られてしまったし、狼の、、、人を食いたいという本能が自分の中から湧きあがるのを感じたのもあの時だけだったからね。人から忌み嫌われていることは知っていたけれど、自分でも心底忌まわしいと思ったよ。

それなのに、襲われかけた君は、ダンブルドアの命令に従って、誰にも話さず秘密を守ってくれた。ジェームスが君の命を救ったヒーローだという話が広がってさえも。そのおかげで私は卒業までホグワーツにいられたんだ。

君は覚えていないだろうけど、次の満月の翌朝、私は傷だらけで雪の上に倒れて、そのまま死ぬだろうと思っていた。死にたいとも死んで当然の身だとも思っていたら、君が現れたんだ。そして傷を癒してくれた。

ねえセブルス、君は、君が私にしてくれたことがどんなことだったかわかるかい?自分を食らおうとした者に、それでも生きていていいと言ってくれたんだよ。」

「ルーピン、人狼になったのはおまえの責任ではない。治癒できない感染症のようなものだ。おまえは人に危害を加えぬよう、叫びの屋敷で自分を傷つけていたではないか。」

「セブルス、だから君は特別だというんだ。そんなふうに、当然のことのようにそう言えるのがどんなに特別なことか、私はホグワーツを卒業してあらためて思い知ったよ。人狼であることで惨めな思いを何度もしたけれど、そのたびに、君の許しが支えてくれたんだ。友達を失って一人になっても、私がなんとか生きていられたのは、君のおかげなんだよ。

そして、、、教授職を得てホグワーツに戻ったら、君は脱狼薬を煎じてくれた。学校を卒業してから、充実感のある仕事につけたのはあの数か月だけだった。それも君のおかげだった。私にとって、君がどんなに特別で大切な存在なのか、わかってくれたかい?」

「ルーピン、私はダンブルドアの命令に従っただけだし、人狼の危険は薬で抑えられるものだ。そういえば、グレンジャーも気づいていたがずっと秘密を守っていたのだぞ。人狼に対して偏見を持たず正しい判断ができるのは私だけではない。」

「ああ、ハーマイオニーも優秀で理性的な判断ができる子だね。マグル育ちで人狼への偏見に染まっていなかったせいもあるだろうけど。」

「私もマグル育ちのようなものだからな。」

話が思いがけない方向に飛んだ。

「君がマグル育ち?それは知らなかったよ。あまり恵まれた家庭ではないんだろうと思っていたけれど。」

「そうだな。ひどい家庭だった。どんな嫌がらせを受けようと、ホグワーツを出て、行く場所はなかった。」

「私と同じだったんだね。私の家庭はひどくはなかったけど、私がいるとひどいことになってしまってね。だからホグワーツを追い出されるわけにはいかなくて・・・。そうか!だから君は私の秘密を守って追い出されないようにしてくれたんだ。」

セブルスは肩をすくめただけだった。

「話は終わりか、ルーピン?それなら、、」

「うん、話は終わったけど、君を放したくないよ。」

「ではどうしろと言うのだ?」

むっとするかと思ったけれど、セブルスはむしろ所在無げだった。ほんとうに、どうすればいいのかわからないように、私を見ている。

「私は、、君を失いたくないよ。セブルス、生きていてほしいんだ!」

セブルスは大きくため息をついた。

「残念だが、ルーピン、その約束はできない。わかっているだろうが、私たちは戦いの最中にいるのだ。おまえも初めに言ったように、あの時死んだのはブラックではなくておまえだったかもしれないし、私も、、デスイーター集会に出かけるたびに、生きて帰ることはないかもしれないと思っている。」

最後はつぶやくような声だった。ほんとうに、次の集会から戻ってこないような気がして、私はセブルスを強く抱きしめた。

「いやだよ。死なないでくれよ。ジェームスもシリウスも逝ってしまった。君まで死んでしまったら私はもう、、」

「ルーピン、落ち着け。勝手に殺すな。私だってもちろん死にたくはない。だがこんな時代だからな、先のことはわからないだろう?」

「こんな時代でも、こんな時代だからこそ、温もりを求めるんじゃないか。大切な君の、この温かい体がこの世からなくなってしまうなんて、考えたくない。私には耐えられないよ。」

私は必死だったと思う。ほとんど何も考えずに言葉が出てきた。セブルスの黒い瞳がかすかに揺らいだ気がした。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

こんにちは。
楽しくお邪魔致しました。
貴方の妄想が、私のと
そっくりなのに驚きました。
私は、ドラコのファンです。
前の方に、ドラコの幼少期が描かれていて、嬉しかったです。
今はハリーポッターの本も映画も終わってしまったので、新しい展開が訪れるこの話は素晴らしいです。
勿論、セブルスもルシウス、ナルシッサも大好きです。

Re: タイトルなし

RENさん、
こんにちは。
つたない妄想をお読みいただき、ありがとうございます。
本も映画も終わってしまいましたが、
ほとんどハリー視点で描かれているので、
ハリーに見えなかったことにあれこれ思いを巡らせています。
RENさんも同じような妄想持たれていたんですね。
私もセブルスとマルフォイファミリー大好きです。

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