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セブルス・スネイプと謎のプリンス(5)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


私の無事を必死で願う言葉を聞くのは、不思議なものだった。私の身を気にかけてくれたのは、リリーとルシウスだけだ。そう思っていたのだが。

要するにルーピンは私に懐いてしまったのだろう。腕枕という実に居心地の悪い体勢でルーピンの長い告白を聞きながら、あきらめとともに合点がいった。親友を亡くしたルーピンは、群れを失った狼が受け入れてくれる仲間を求めるように、長年なんとなく関わりのあった私に懐いたのだ。

結局は暴れ柳事件が、こうも尾を引いてしまったのだ。

あの事件は私にとっても特別な経験だった。私はひどい家庭に育ち、ようやく見つけたホグワーツという居場所でも、苦労知らずのいい気な者から理不尽な嫌がらせを受け、唯一の心の支えであったリリーも失いそうな不安におののいていた。最悪のくじを背負って生まれおちたのだと思っていたのだが、あの日、自分以上に不運なくじを背負った者を目の当たりにしたのだった。

間近で変身された時こそ恐ろしさにおののいたものだが、逃れて後に思い返すと、心を占めたのは、憐れみだった。変身の苦痛、人を襲う本能を持った者に意識を支配される不安。それが毎月繰り返される。そしてなりたくてなったわけでもない、むしろ被害者ともいえるのに、人からは忌み嫌われるのだ。

あの時私は、たしかに私を襲おうとする狼の本能を感じたが、同時にルーピンの血を吐くような叫びもきいていた。「逃げて!はやく逃げて!」ルーピンが私を襲ってしまうことを、心の底から恐れていることが伝わってきた。それは、忌まわしい呪いに穢されぬ善良な心根に思われ、その善良さが哀れでもあった。だから私はルーピンが人に好かれたい思いが強すぎたり、そのために毅然と立ち向かう勇気を持てないことを知ったうえでも、ルーピンの人間性を疑ったことはない。どうにもルーピンには甘くなってしまうところがある。それをダンブルドアに見透かされて、3年前には脱狼薬を作らされる羽目になった。

脱狼薬は変身を止めるわけではなく、体が狼に変わっても人間の意識を保つだけの薬だ。だから、その人間の心根が悪ければ、狼の呪いを悪用することもできるわけで、もともと善良な心を持った者にしか処方しても意味のない薬なのだ。ルーピンだから調合してやったのだが、そのことも嗅ぎつけられていたのだろう。付け込まれる隙は十分あったということだ。

それに、ルシウスと間違って身を任せてしまった責任もあるし、ルーピンだとわかって驚きはしたが、そう嫌なわけでもなかった。人の温もりを求める気持ちは、私にもあったのだ。

「たしかに、こんな情勢だからこそ、人の温もりは心地よいものだ。」

私が言うと、ルーピンは信じられない言葉をきいたかのように唖然とした表情をし、それから泣きそうな笑顔でむしゃぶりついてきた。捨てられた子犬がまとわりつくように。私は釘を指しておいた。

「だが、私には任務がある。命がけの任務だが、それが最優先だ。情勢もきわめて緊迫している。」

セブルス、なぜ君はそんなにまでして・・・」

「私が生きている理由だからだ。これ以上説明するつもりはない。」

「わかったよ。だけど、生き延びる努力はしてくれるよね?」

「もちろんだ。」

それから何度か、周囲の目を盗んで、私たちは体を交わした。

ルシウスに感じるような憧れや愛情はなかったが、ルーピンとの間には、言葉にするまでもない理解と共感があった。貧しさ、孤独、かけがえのない人を失った喪失感、償いようのない愚かな過ち、まとわりついて消えぬ闇の呪い。逃れられない泥沼も、ともにもがく者がいれば少しは安らぐものだ。

しかし、不運を背負った者たちが、ささやかな慰めに浸ることを許すような情勢ではなかった。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : ルーピン セブルス ハリーポッター

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