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セブルス・スネイプと謎のプリンス(6)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


神秘部の闘いの後、闇陣営は迅速に動いた。「復活が明らかになった今、存分に力を思い知らせよ」ダークロードの言葉に従い、デスイーターは巨人の助けも得てマグルへの大規模な破壊活動を行い、ディメンターをマグルの街に放った。魔法界も暗い影に覆われた。魔法省で信任の厚かったアメリア・ボーンズが殺害され、騎士団のエメリーン・バンスも命を落とした。巷でも殺人や行方不明事件が頻繁に報道される。批判を受けた魔法大臣のファッジは辞任を余儀なくされた。

派手な動きの一方で、ダークロードが密かに進める企みもあった。デスイーターたちが暴れまわる中、私はダークロードに召喚された。たまたま一緒にいたルーピンは、むろん私を引き留めるようなことは言わなかったが、無事を祈るという言葉とともに握りしめた手からは、不安と心配が伝わってきた。それは私の心にあるものと同じだった。ルーピンの手を放し、アパレートの準備をする。

待つ者を残し、この緊迫した状況の中、一人ダークロードに対面するのは身のすくむ思いだった。死の恐怖、殺させられる恐怖、明日は我が身の見たくもない虐待、他者の苦痛を喜ぶ邪悪な心、、、生理的ともいえる恐怖に立ちすくむ時、私はいつもリリーを思う。

リリーは一人、ダークロードの前に立ち、そこを退けば助けてやると言われながら、息子に愛の守りをかけて死の閃光を受けた。それは十数年の長きにわたり、息子を守りダークロードを追い詰めている。そして、その遺志は私に生き続ける意味を与え、生きていればこその幸せもくれた。私はリリーの魂とともにダークロードの前に立つのだ。

心を落ち着け、空にした。ダークロードほどの開心術師の前では、わずかな恐怖、心の揺れも死に直結する。私の命は贖罪に捧げる覚悟だが、ここで死んではリリーの遺志を守ることができない。リリーの魂を胸に、私はダークロードのもとに参じた。

予想外に、ダークロードは穏やかな口調で話しかけてきた。

「セブルス、おまえはマルフォイの息子をどう思う?ホグワーツで教えているはずだが。」

「我が君、それはドラコ・マルフォイのことでしょうか?」

「そうだ。役立たずのルシウスに代わり、任務を果たしてもらわねばならぬ。」

ダークロードの声に憎々しげな響きが加わり、私は慎重に言葉を選んだ。

「ドラコ・マルフォイは5年生を終えたばかりです。学業はそれなりに優秀ですが、恵まれた家庭で甘やかされて育ち、まだほんの子供です。とても任務を果たせるようには思えません。」

「しかしルシウスの失態は償わせねばならぬ。」

「あの子供にできることなど、何かございますでしょうか?」

「ホグワーツにはダンブルドアがいる。生徒なら容易に近づけるであろう?ダンブルドアを倒す密命を与え、父親の汚名を挽回する機会だと言ったら、喜んでおったぞ。」

「しかしダンブルドアはそれなりの力を持った魔法使いで、ドラコ・マルフォイなどかなうものでは、、」

ダークロードの笑いが私の言葉を遮った。

「成し遂げられねば死があるのみ。ルシウスも一人息子の活躍にずいぶんと気を揉むことであろう。もし間違って成し遂げられれば、お前にもうしばらく騎士団のスパイを続けてもらえるというものだ。」

「それでは成し遂げられなかった場合には私が、、?」

「セブルス、余はお前の力を高く評価している。子供相手に手こずった役立たずどもに比べ、お前は必要な情報を迅速に伝えてきた。ダンブルドアや不死鳥の騎士団の情報もお前の働きがなければ得られぬものだ。情勢をみて、為すべきことを的確に判断できるであろう。」

「我が君、身に余るお言葉でございます。」

「仲間の中にはお前の忠誠を疑う者もいるが、余はお前を信じている。なぜかわかるか?」

私は話の意図がわからず、ただ頭を下げた。

「マグルの父親への軽蔑と憎しみ。貧しく惨めな生い立ち。お前は余と同じ根を持っているのだ。」

「我が君、お父上はマグルなのですか?」

「そうだ。力もなき穢れたマグルであった。余自身で殺してやったわ。母親は顔も知らぬが、すぐれた血筋を余に継承してくれた。偉大なる魔法使い、サラザール・スリザリンの直系だ。お前の母親も純血だときいている。」

「はい。仰せの通り、母はプリンス家の出自でございます。」

「半純血のプリンスというわけか。セブルス、半純血の者には甘やかされて思いあがった純血の出自にはない強さがあると思わぬか?結果をもって力を示さねばならぬのだ。おまえは今までのところ、結果を出している。余はおまえに期待しているのだ。わかるな?」

「我が君、ご期待に添えるよう全力を尽くします。」


対面から解放され、会話の意味を吟味した。ダークロードの面前にあるときは、いつ心をのぞかれるかわからないから、余計なことは考えないことにしている。

まず重要なことは、ドラコにダンブルドア殺害の密命を下したということだった。しかし当然ながらダークロードはドラコに果たせるなどとは考えていない。ルシウスを痛めつける手段なのだ、暴行される私を見せ付けたのと同様に。予想通り果たせなければ、殺すことすら考えている。?私にとって最も我が子に近い存在、ゴッドサンのドラコを。

その後には、自らの出自に触れてまで私への期待を語った。あれには何の意味があったのだ?同じ根を持つ私なら、ダンブルドアを殺せるはずだと言いたかったのか?純血名門のルシウスに失望し、自らの力のみを拠り所とする半純血の私に親しみと報償をちらつかせて、成し遂げさせる意図なのか?

たしかに、昔の私なら忠誠を感じたかもしれぬ。一瞬、その惨めな子供時代に憐れみを感じたのも事実だった。私と同じ、見捨てられた子供。恵まれた純血家系の魔法使いを妬み、蔑みたい気持ちがダークロードにもあり、腹立ち紛れに同じ立場の私に漏らしたのかもしれない。

ダークロードも、ホグワーツで初めて安らぐ家を見つけたのだろうか?清潔なベッド、飢えを満たすためだけではない食事、気にかけてくれる人。もしリリーに出会えなければ、私もあのようなおぞましい存在になっていたのだろうか?私を信じると言うダンブルドアが、それでも私に闇の魔術に対する防衛術の教授職を与えないのは、その根に再び闇が育つことを懸念しているのかもしれない。

ルシウスへの報復として暴行させた私に、次の報復の裏話を得意げにきかせる思考も、理解しがたかった。私がルシウスの痛みを自分の痛みと感じるなどと、夢にも思わないということだ。もちろん私は閉心術により、ルシウスへの思いは隠したし、むしろ、利用して力を得ようとしたかのように粉飾はした。だが、ダークロードはルシウスの心の中に、親密な2人の姿を見たはずなのだ。ダークロードには、それは単なるルシウスの弱点だった。つまり、ダークロードは愛の痛みも温もりも、まったく理解していない。愛を知らず、私の中にある恨みや憎しみだけに共感するダークロードは、おぞましくもあり、哀れでもあった。

思いは様々に廻ったが、私は現実に思考を戻した。まずはドラコだ。私はドラコの受けた密命をダンブルドアに報告し、急ぎマルフォイ邸に出向いた。密命である限り、私がドラコに与えられた任務を知っている素振りは見せられない。ドラコに対する言動は、すべてダークロードに筒抜けになると考えなければならない。

それとなくルシウスの不在を見舞い、ドラコには、困ったことがあったらいつでも相談するように言った。ルシウスがいない間は、ルシウスの長年の友人であり、スリザリンの寮監である私を頼ればよいのだと。しかしドラコは反抗的だった。ダークロードの寵愛を失ったルシウスに、私がとって代わろうとしていると思い込んだようだ。あるいは誰かに吹き込まれたか。ナルシッサは、ドラコは反抗期なのですと、心細げに取り繕っていた。

ドラコのことが心配でならなかった。マルフォイの家門と父親を誇りに、その期待に応えたい一心で育ってきた子供なのだ。もちろん、恵まれて育ったから世間知らずでもある。ダークロードの底意地の悪い本心など気づいてはいないだろう。その上、グレンジャーのような知恵のある友達もいない。私にまで背を向けて取り返しのつかぬことをしてしまうのではないか?ダンブルドアがスリザリンのドラコを救う手立てを考えてくれるかと一抹の不安もあった。

そのわずか数日後、ダンブルドアから緊急の呼び出しを受けた。私の人生を根底から揺るがし、生きながらえたことを呪うようなことが起こったのだ。

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