スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セブルス・スネイプと謎のプリンス(7)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です。本作のネタバレを含みます)


ホグワーツの校長室に駆け付け、私は血の気を失った。ダンブルドアはソファに倒れ、垂れ下がった右手の指が呪いで焼け焦げ、手から腕へと邪悪な呪いが広がっていたのだ。テーブルには壊れた指輪とグリフィンドールの剣が置いてあった。

私は必死の思いで、杖で呪いを抑え、左手で魔法薬を流し込んでいった。ダンブルドアがかすかに動き、うっすらと目を開けた。

「なぜ!なぜ指輪をはめたのですか?呪いがかかっていることはおわかりだったでしょう?なぜ触ったのですか?」

悲しみと恐怖と怒りに打ち震え、私は叫んだ。強力なその呪いは、ようやく片手に封じ込めたものの、止められるものではなかった。徐々に広がり、強まり、やがて命を奪う邪悪な呪い。なぜダンブルドアほどの偉大な魔法使いが、このようなことに。

「そそられでしまったのじゃ。」

何にそそられたのかという質問に答えはなく、残された命の時間を尋ねられた。

「なんとか片手に封じ込めてありますが、、、はっきりわかりませんが、あと、1年くらいです。時間とともに強くなる種類の呪いです。」

「わしは幸運じゃ。おまえがいてくれて、実に幸運じゃ、セブルス。」

私は不幸だった。

「もう少し早く呼んでくださったら、もっと何かできたのに。もっと時間を延ばせたのに。」

恨めしい思いで割れた指輪と剣を見下ろした。指輪を割れば呪いが解けるとでも思ったのか?

「わしは熱に浮かされておったのじゃ、間違いなく。」

なにか方法はないかと思考を巡らせていると、ダンブルドアは座りなおして言った。

「さて、これでことは単純になる。」

なんのことかと思うと。

「かわいそうなマルフォイ少年にわしを殺させるというヴォルデモート卿の計画のことじゃ。」

そんなことを言っている場合ではない。とにかくその手の呪いをなんとかと思うのに、ダンブルドアはその話は終わりという合図に手を上げた。私はしかたなく答えた。

ダークロードはドラコが成功するなどと期待してはいません。息子が失敗して代償を払わされるのを見せ、ルシウスを懲らしめようとしているだけです。」

「つまりあの子はわしと同じく、死の宣告を受けているということじゃ。わしが思うに、ドラコが失敗すれば、後を引き継ぐのはおまえじゃろう?」

「・・・。それがダークロードの計画だと思います。」

「ではヴォルデモート卿はまもなくホグワーツを掌握できると考えているわけじゃの。その時には、おまえは全力で生徒たちを守ると約束してくれるじゃろうな?」

私は小さくうなづいた。もちろん、ダークロードの計画通りにいけばということだ。ダンブルドアの命を救えさえすれば。。。

「それでは、ドラコが何をしようとしているか見つけることが最優先じゃ。追い詰められた少年は、自分を危険に曝すばかりか、他の者にまで危害を及ぼす。手助けし導いてやると言うのじゃ。あの子はおまえに懐いておるから、できるじゃろう?」

「最近はそうでもありません。ルシウスが寵愛を失ってから、私がその地位を奪おうとしていると考えて反抗しています。」

「それでもやってみるのじゃ。わしのことより、ドラコが何か思いついた時に犠牲者が出ることが心配じゃ。いずれにせよ、最終的にドラコをヴォルデモート卿の怒りから救う手立ては一つしかないが。」

人の心配をしている場合か?私は皮肉をこめて言ってやった。

「あの子にご自分を殺させるつもりですか?」

「いや、おまえがわしを殺さねばならぬ。」

なにを、、、何を言ったのだ、ダンブルドアは。耳に入った言葉が信じられなかった。しばらく、何も考えられない。そして徐々に、ダンブルドアの手の呪いがじわじわと広がってゆくように、私の心に事実がしみ込んできた。ダンブルドアは本気で言っているのだ。しかし、私にそのようなことができるとでも?ダンブルドアが近く死を迎えることさえ受け入れがたいのに。悲しみと言うより、怒り。

「今すぐをお望みですか?」

「そうは急がぬ。その時は自然に来るじゃろう。今日の出来事からいって、間違いなく1年以内には。」

「死んでもいいのなら、あの子に殺させてやったらいかがですか?」

「あの少年の魂はそれほど壊されてはおらぬ。わしのために引き裂くことはできぬ。」

「それではダンブルドア、私は?私の魂は?」

私は叫んだ。

「老人が苦痛と屈辱から逃れる手助けをすることがおまえの魂を傷めるかどうかは、おまえだけにわかることじゃ。セブルス、これはわしのたっての願いなのじゃ。なにしろ、わしに近く死が訪れることは確実なことじゃからの。」

それからダンブルドアは、楽に死にたいだの、グレイバックに痛めつけられて見苦しい羽目になるのは嫌だだの、ベラトリックスにいたぶられたくはないだのと私をかき口説いた。しかし冗談めかした口調とは裏腹に、私の魂を貫くその視線が、断固とした意思を伝えてきた。逆らい難い、、逆らえぬことを知っている、その目。

私はやむなくうなづき、ダンブルドアは満足げに言った。

「ありがとう、セブルス。」


何かが起こり、その前と後では世界が一変してしまうような出来事がある。今日の出来事は、まさにそれだった。ダンブルドアの死が確定する前と後。私がダンブルドアを殺すことが、確定する前と後。

初めてではなかった。この前のそんな出来事、リリーの死。崩れ落ちた世界を、ただダンブルドアの導きに従い、生きながらえたのだ。ダンブルドアの信頼を唯一つの拠り所にして。そのダンブルドアが死ぬ。私に殺せと言う。私にとってどんなに残酷なことか、わかっているのだろうか?

もちろんわかっているはずだ。わかっていて、やれという。逃れる道はないのだと。

追い詰められて私が闇陣営に寝返ったとしても、同じことなのだった。ダークロードも、私にダンブルドアを殺させる計画なのだ。私に逃れる術はない。どちらにしても呪いで死ぬのなら、その死を生かす最善の策。より大きな目的のための、ケチのつけようのない完璧な計画。それでも、いやだった。ダンブルドアをこの手にかけるなど。

「リリー」

語る言葉は続かなかったけれど、すがるようにその名を呼んでみた。薄暗い部屋で、一人膝を抱えて座っていた子供の頃のようだった。リリー、リリー。何度も、何度も、繰り返し。ようやく、言葉が続いた。

「リリー、僕はどうすればいい?君ならどうする?」

もちろん答えはない。けれど、かすかにきこえる魂のささやき。苦しくても、逃げない。苦しくても、立ち向かう。勇気を持って、セブ。


数日後、ダンブルドアから再度呼びだされた。焼け焦げた右手は、そのままだった。

セブルス、今日はよい話じゃ。今年度は闇の魔術に対する防衛術をおしえてもらいたい。」

「わかりました。」

「長年の希望だったじゃろう?このくらいしかしてやれんがの。」

「ありがとうございます、アルバス。」

1年以上はもたない席だった。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

tag : セブルス ダンブルドア ダークロード ハリーポッター

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ミーシャS

Author:ミーシャS
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
FC2カウンター
リンク
出遅れハリポタ語り

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。