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セブルス・スネイプと謎のプリンス(10)

(これは『ハリーポッター』シリーズの本と映画鑑賞後の、妄想です)


銀色に輝く牡鹿と牝鹿。立ち並ぶ2つの守護霊を見て、私は強張っていた心がわずかながら和らぐような気がした。リリーが私の魂に灯りを灯してくれたように、私もルーピンの心に幸せな思い出を残せるのだろうか。

ダンブルドアの指示にやむなくうなづいたものの、感情的には受け入れられるはずがなかった。信頼し、尊敬し、導きを受け、ただ一人心を明かしてきたダンブルドアが死ぬ。私が殺す。それにくわえてその後のことを考えると、暗澹たる思いに沈むしかなかった。私は味方には裏切り者の敵と思われ、裏切り者の私を信ずる敵には味方を演じて嘘をつくことになる。

ダンブルドアをこの手にかければ、「ダンブルドアが信じているから」私を同士と思っていた者たちは、私を裏切り者と信じて疑わないだろう。いや、もともと敵方だったのだと思うだろう。心を隠し、嘘をつき、ただ一人、命をかけて敵陣営に潜る。信じられる者も、信じてくれる者も、帰る場所もない。リリーを死なせ、ダンブルドアを殺めた者として、魂に灯るリリーの灯りだけを支えに、その息子を守るため一人戦い、死ぬのだと思い詰めていたのだが。

リリーが私に遺してくれた灯りそのものといえる牝鹿の守護霊。それにそっと寄り添う牡鹿。

ダンブルドアの命を使う大芝居をぶち壊しかねないから密命は明かせぬし、まもなくダンブルドアを殺めて敵方に下る身では友情や信頼を語ることはできないが、、、牡鹿には、牝鹿の話を伝えておこう。

私がリリーの話を終えると、ルーピンは言った。

「君がリリーに出会えてよかった。」

「ああ。」

「私は君に会えてよかったよ。」

心の中で、私もルーピンに会えてよかったとつぶやいた。りりーのくれた1つの灯りが、また別の灯りをともしたような気がした。

私がダンブルドアを手にかけた時、ルーピンはそれでも私のことを信じるだろうか?それとも、15年前と同じように、信じていた者の裏切りにより、また大切な人を失ったと嘆き恨むだろうか?

いずれにせよ、ダンブルドアを手にかけた後は、闇陣営に留まることになる。私が戦いを生きながらえ、騎士団の仲間と顔を合わせることはないだろう。ルーピンが私を信じたかどうか、私が知ることはないかもしれないが、信じてくれると思いたかった。私は祈るような思いで、消えた光の影を眺めていた。


夏休みも終わりに近づく頃、スピナーズエンドの自宅に思いがけない人が訪れた。

「ナルシッサ!」

ルシウスがアズカバンに囚われ、ドラコにはダークロードから報復の任務を与えられ、どんなに心細いことかと慰めに行こうと思っていた。ダンブルドアの一件で後回しになっていたのだが。やはり家族同然と思う気持ちは同じなのだと喜んで迎えたのだが、、、

「スネイプ。」

フードをかぶった同伴者はベラトリックスだった。ダークロードの熱狂的信望者だが、神秘部の闘いの失態以来冷たくあしらわれ、私のことを快く思っていない。どころか、昔から私とは折り合いが悪いうえに、ルシウスと私の関係も知っている。嫌な相手だが、ナルシッサの姉だった。ドラコの私に対する反抗的な態度も、この伯母に煽られたのかとピンと来た。

「セブルス、ここを尋ねてはいけないとわかっていましたけど、お願いがあって来ましたの。あなたしか頼れる人はいないの。」

ナルシッサの頼みがドラコに関することはわかりきっていた。ナルシッサを慰め、心おきなくドラコについての相談にのりたいのは山々だったが、ベラトリックスがいてはうかつなことは言えない。それにワームテールもいる。私の補助にと寄こしたダークロードの本心はわからないが、ワームテールが私の動向を探り、何かあればダークロードに知らせて手柄にしようと思っていることは明らかだった。

さからうワームテールにワインの準備をさせて追い払い、ナルシッサの話を聞こうとしたのだが、私を疑うベラトリックスがじゃまをする。というより、ベラトリックスはこの件につき、私に介入されたくないのだろう。甥を助けて手柄を上げさせることで、ダークロードの寵愛を取り戻したいのだ。

いつも陽気でおっとりしているナルシッサが涙ぐんでいるのは気の毒でならなかったが、この先ベラトリックスの余計な介入を避けるために、私はダークロードの信頼を得ているのだと釘をさしておいたほうがよいかもしれない。ベラトリックスと同様、影で私を疑うデスイーターも多いなか、疑いを晴らすよい機会とも思えた。

ナルシッサにことわり、ベラトリックスに私を疑う理由を尋ねた。山ほどある!とベラトリックスが並べ上げた疑問はもっともなものだったが、すべてダークロードに問われたことで・・・しかもクルーシオと開心術を掛けられながら・・・それを切り抜けた私に、凶暴だが単純なベラトリックスを丸めこむのは容易なはずだ。ダークロードがそのような疑問を持たないと思うのか、納得しなければ私が今も生きていると思うのか、まさかダークロードが騙されていると思うのか、そういう話をダークロードから聞かせてもらえないのかと、皮肉を交えたり挑発したりしながら、1つ1つ丁寧に答えてやった。

ベラトリックスは食い下がり、ときには嫌な所を突いて来た。たとえば、ダークロードが消えた後に私がホグワーツに居残った理由。突き詰めれば、まさに私の裏切りが理由なのだ。最初はダンブルドアの懐で可愛がられていたなどというので、希望した闇の魔術に対する防衛術の教授にはさせてもらえず、可愛がられていたわけではないと返したのだが、しつこくなぜ居残ったかを追及された。アズカバンより居心地のいい職があったからで、ダークロードがそれにより情報を得られたことを認めてくれるのに、なぜとやかく言われるかわからないと突っぱねた。

また、ベラトリックスは挑発にのって、おかしなことを漏らしたりもした。神秘部の闘いの失敗によりベラトリックスがダークロードの信頼を失ったとつつくと、以前からダークロードの最も大切な物を託されていると口走ったのだ。詳しくは聞けなかったが、ルシウスが託されていた因縁ありげなトム・リドルの日記を思い出した。ダークロードは姿を消す前に、最も信頼していた配下に何か重要な物を預けていたのだ。

すべての質問に答えてもベラトリックスはまだ何か言いたげにしていたが、言い淀んだすきに話を戻し、ナルシッサに用件を促した。それはもちろん、ルシウスがいないのにドラコに密命が下されたことなのだが、密命の口外を禁じられているので口ごもっている。ダークロードが禁じたなら言うべきではないと言ってベラトリックスを喜ばせて、しかし、たまたま私はそれを知っているとナルシッサに助け船を出した。

ナルシッサは、ドラコが密命を果たせないこと、ルシウスを罰するための密命だと正しく理解していた。私が、ダークロードがルシウスに対し非常に怒っていることを認めると、ナルシッサは、それではやはりドラコを途中で殺させるつもりで選んだのだと取り乱し、涙を流してすがってきた。

私はナルシッサに、密命をやめるようダークロードを説得することはできないが、私がドラコを助けられるかもしれない、やってみることはできると告げた。ダンブルドアの指示通り、ドラコの企てを知り、ドラコや周囲に害が及ぶことを食い止められるように、話を誘導したのだ。するとナルシッサは、破れぬ誓いを求めてきた。

いざとなれば私は危険をすり抜けると騒ぐベラトリックスを無視し、私はナルシッサの涙に濡れる瞳を見つめて静かに言った。

「わかった、ナルシッサ。破れぬ誓いを結ぼう。」

私はナルシッサと向かい合ってひざまずき、右手を握り合った。そして唖然としているベラトリックスに誓いの結び手を頼んだ。ベラトリックスが私たちの傍らに立ち、握り合った手の上に杖の先を置いた。ナルシッサが言葉を発した。

「セブルス、あなたはダークロードの望みをかなえようとするドラコを見守ってくださいますか?」

「そうしよう。」

私が答えると、杖の先から炎が出て、赤い紐のように私たちの手に巻きついた。

「そしてあなたは、ドラコに害が及ばぬよう、力の限り守ってくださいますか?」

「そうしよう。」

杖の先から2つ目の炎が出て最初のものと絡み合い、鎖のように巻きついた。

「そしてもし必要ならば、、、ドラコが失敗しそうな場合は、ダークロードが命じたことを、あなたが実行してくださいますか?」

ナルシッサがささやくような声になり、私は手を引っ込めたい衝動に駆られたが、、、

「そうしよう。」

3つ目の炎が飛び出して、他のものと絡み合い、握り合った手にがっしりと巻きついた。

「セブルス、感謝します、感謝します。ありがとう、セブルス」

言ったきり泣き崩れるナルシッサを助け起こし、あっけにとられたままのベラトリックスとともに送り出した。

すでに逃れる術はなかったこととはいえ、、、破れぬ誓いを結んだ限り、ダンブルドアを殺さなければ、私が死ぬ。私が死ねばよいのだが、、、「それで、おまえが死んで何になるというのじゃ?」ダンブルドアの声が聞こえてきそうだった。私が死んでも何にもならぬが、私がダンブルドアを殺すことは、ダークロードの願いを叶え、ダンブルドアの計画を遂行し、ドラコとナルシッサとルシウスを救うことになるのだった。

しかたがないのだ。私は1年たたぬうちに、ダンブルドアをこの手にかけることになる。

リリーの遺志を継ぐために、リリーの息子を守るために、避けられないことなのだ。吐きそうになる嫌悪感と悲しみを飲み込んで、再び、、、ダンブルドアの指示を受けてから何度めになるだろう、、、私は自分に言い聞かせた。

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